値下がりしている株をロールオーバーするメリット
買った後値下がりしてしまっている株をロールオーバーするメリットもあります。例えば120万円でNISA口座にて買った株が、80万円に値下がりしている場合を考えてみます。
ロールオーバーせず通常口座に移管された後、株価が120万円に戻ったので売却したとすると、実際には利益は出ていないはずなのに、120万円-80万円=40万円の利益が出たとして課税されてしまいます。
これは、NISAの非課税期間満了後通常口座に移管する際、当初の購入価格ではなく、非課税期間満了時(今年なら2022年末の株価)で受け入れるため、値下がりした分の損失はその時点で切り捨てられてしまうからです。
でも、ロールオーバーをすれば、さらに5年間非課税期間が延長されますので、値下がり分の損失が切り捨てられることはありません。
上の例で80万円の株価が120万円に戻ったところで売却しても、課税されずに済みます。もちろん、120万円よりさらに株価が上昇したところで売却しても非課税です。
あまりにあいまいな「ロールオーバーすべきかどうか」のアドバイス
では、実際に2018年のNISA枠で購入した株につき、ロールオーバーするかどうか、どのように判断すればよいのでしょうか。
ちまたでは、「株価が今後上がる見込みが高いのであればロールオーバーすべきだが、下がる見込みが高いならロールオーバーはしない方が良い」といったアドバイスが目立ちますが、これではあまりにも判断基準があいまいすぎます。
そもそも個人投資家が、自らの保有している株が今後上がるか下がるかを正確に予想することなど到底無理な話だからです。
ですから筆者はもっと合理的、客観的な判断基準でスパッと割り切ってしまう方が良いのではないかと思っています。
それは「購入時の株価より現時点の株価が値上がりしていればロールオーバーし、値下がりしていればロールオーバーしない」というものです。