利上げ打ち止め期待が株価の追い風

 先物市場で算出されている政策金利見通し(FOMC直後時点)は、FF金利が2023年前半に5%程度でピークアウトし、年後半から2024年にかけ徐々に低下していくと見込んでいます(図表2)。

 FOMC結果にかかわらず、市場はFRBのピボット(政策転換)が近いとみています。インフレ率やインフレ期待がピークアウトを示している中、米国景気が減速を続ければ、政策金利を割り込んで推移する長期債金利が一段と低下に向かう可能性もあります。

 長期債金利の低下は、株式の相対的なバリュエーションを改善させ、株式の復調(ボラティリティ低下)そのものがリスクプレミアムを低下させる可能性があります。2023年前半に向けた利上げ打ち止め期待は株価の追い風となりそうです。

<図表2>先物市場は来年前半の利上げ打ち止めを予想

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2022年12月14日)

 一方、債券市場では短期金利(2年国債利回り)と長期金利の逆転(逆イールド)が発生し続けており、金融引き締めの累積効果で「米国経済が景気後退入りする」との見方が浮上しています。

 今後は、景気の減速基調や失業率の上昇を犠牲にしてまで、FRBがどこまで金融引き締め姿勢を維持していくのかが焦点。景気減速に伴って業績の先行き懸念が強まれば、株式市場の下振れリスクにつながる可能性には注意したいと思います。