実物資産のゴールドをポートフォリオに!

 ゼロヘッジの記事『中国が「謎の」金大量購入国であることを確認、3年ぶりの公式購入に成功』によると、中国やロシアがゴールドの保有量を急激に増やしているという。

 記事は、「中国にとって、外貨準備の大半を占めるドルに代わるものを見つける必要性がこれほど大きくなったことはない。米国の半導体企業に対する措置以来、米国との緊張は高まっている。ロシアのウクライナ侵攻は、米国が中央銀行の準備金を制裁する意思があることを示した。アメリカがドルを武器化する用意があることを示した今、FRBや欧米の銀行、その他の取引先が保有するドル準備は、中国が台湾侵略など好ましくないことをすれば、すぐに没収されかねないということだ」と、ペトロダラー(ドル石油本位制)の終焉(しゅうえん)を指摘している。

 中央銀行の買いが持続的なゴールドの上昇をもたらすことはめったにないが、価格が下落したときには重要な支柱となることがある。貴金属は今年、FRBの積極的な金融引き締め策から圧力を受けているが、ドルや国債利回りの動きに対しては比較的よく持ちこたえている。

ゴールドCFD(日足)

(↑:買いシグナル・↓:売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 クレディスイスのZoltan Pozsarが必読のメモで書いたように、まずロシア、そして他の国(中国)がペトロダラーを追い出し、ペトロゴールドに置き換えようとしていることから、ゴールドの役割が変化している可能性がある。

 狂ったようにレバレッジをかけることで経済の軟着陸を実現する能力は、もはやほとんどの国にはない。これは信用を拡大し、システムに資金を投入することを意味する。つまり、ほとんどの国にはもはやそのような手段はないのだ。

 ドルや人民元の刺激策は経済成長を低下させるだけでなく、通貨を下落させることによってインフレモンスターを育てることになる。要するに、鶏はねぐらに戻りつつあり、この状況から目をそらすために、大きな気晴らしが必要なのだ。

 プーチンのせい、コビッドのせい、気候変動のせい、トランプのせい、パウエルのせい、バイデンのせい。権力者やメディアが誰を非難しようと、ひとつだけ確かなことは、彼らは決して自分たちを非難しない、ということだ。システムは彼らが利用するものであり、責任を取るべきものではないのだ。

 流動性と信用衝動は魔術ではなく、群れの行動である。群れの狂気が貪欲からパニックに切り替わると、買い手がいなくなり、流動性、つまり減価する資産を買う愚か者を売り手が見つけることができるようになるのだ。

バフェット指標

出所:gurufocus

 魔法陣が逆回転し、評価が下がると担保が縮小し、信用が失墜する。評価額と担保が永遠に上昇すると貪欲に考えていた貸し手は、人生を変えるほどの損失を被ることになる--信用とレバレッジで小屋を建て、永遠の宮殿と勘違いしていたすべての大衆と一緒に。

 IMF(国際通貨基金)の元顧問で、クリントン大統領の経済諮問委員会のメンバーでもあるヌリエル・ルービニは、住宅バブルの崩壊を予測した数少ない「主流派」経済学者の一人であった。

 ルービニは、債務に基づく経済が生まれたのは、FRBをはじめとする中央銀行が推進してきたゼロ金利に近い、あるいはゼロに近い量的緩和政策のせいであると指摘している。ゼロ金利・量的緩和政策の必然的な結果が、米国民を大混乱に陥れる物価上昇である。

「FRBが債務をマネタイズすることで連邦赤字を助長し続けると、ドルの価値の崩壊とドルの世界準備金の地位の拒否によって引き起こされる経済危機が発生する」

(ヌリエル・ルービニ)