主要テーマ三つ ウクライナ、FRB、中央銀行

 以下は筆者が考える現代の金(ゴールド)相場を分析するために必要な「7つのテーマ」です。そしてそれぞれのテーマが、2023年、金相場にどのように影響しそうかを、示しています。

図:2023年の7テーマの予想

出所:筆者作成

 短中期のテーマでは、「有事ムード」と「代替通貨」が上昇圧力をかけると、考えています。以前の「カタールW杯に透ける世界分断、金相場はどう動く!?」で述べたとおり、ウクライナ危機が沈静化しないと考えること、特に年後半に米国の利上げの温度感が低下し(場合によっては利下げ実施も)、ドル安が目立つと考えるためです。

 同じ短中期のテーマ「代替資産」は、下落圧力をかけると、考えています。米国の利上げの温度感低下、中国のロックダウン解除などにより、景気回復期待が浮上し、株価が上昇すると考えるためです。

 短中期の三つのテーマ起因の圧力は、上昇圧力も下落圧力も存在するとみています。そして、それぞれの圧力が絶えず相殺されつつ、上昇圧力が優勢な状態(金価格が上昇しやすい状態)が現れやすくなると、考えています。(株高でも金高が起き得る)

 中長期・超長期のテーマの中で、2023年の値動きをうらなう上で、最も注目しているのは「中央銀行」です。中央銀行は、自国の雇用や金利を調整したり、民間の銀行と資金のやりとりをしたりする、「銀行の銀行」と呼ばれる存在です。

「中央銀行」が金(ゴールド)の保有量を増やすと、金の需給バランスが引き締まり(あるいは、そうした印象を与え)、金価格を押し上げる要因になり得ます。2023年は、そうした動きが目立つ可能性があると、考えています。

 次より、短中期のテーマの中で、2023年に特に重視されると考えている「代替通貨」に大きな影響を与えるFRB(米国の中央銀行にあたる。連邦準備制度理事会)の動きと、中長期のテーマの一つである「中央銀行」の動きに注目します。