「脱米国」加速は止まらない。不安は超長期化

 2010年ごろから、「非民主的」な国々が増えはじめ、「民主的」な国々が減少しはじめたと述べました。このタイミングにどのような意味があるのでしょうか。以下は、米国政府(財務省)が発行する債務証券(米国債など)の残高の推移です。

 2010年ごろから、中国の同証券残高が減少に転じました。リーマン・ショック発生の2年後です。同ショックについては、さまざまな解釈がなされていますが、今改めて考えてみると、「資本主義陣営に開いたありの一穴」だと言えなくもありません。特に金融緩和が本格化した2010年ごろからは、各所で資本主義の是非が問われ始めたと、記憶しています。

 同ショックは、自由な市場で、競争を繰り返すことが発展につながると信じて疑わなかった資本主義社会が、「一部」過ちを認めざるを得なくなった出来事だったと言えます。その様子は、それを見て、それにあこがれて暮らしていた非資本主義社会の人々を、少なからず失望させた可能性があります。

「資本主義」という、自由を旨とする考え方は、「民主的」であり、「民主的な国」の多くは「資本主義」を是としています。その意味では、リーマン・ショックは、民主的な国々の基盤を揺らし、同時に、非民主的な国々に独自路線への回帰を迫る出来事だったと、筆者はみています。

 そう思うと、以下のグラフは、中国という非民主的とされる国が、民主的であることやめた(独自路線を行くことを決意した)一部始終を描いているように思えてきます。

 こうした「脱米国」の動きは、サウジアラビアと急接近して人民元で原油の決済ができるように交渉をしていることからも見えてきます(この場合は脱米ドル)。

 2023年も「脱米国」「脱ドル」「脱西側」が、随所で見え隠れすると、筆者はにらんでいます。不安感をあおるこうした動きは、通年で金(ゴールド)相場を支えると、みています(7つのテーマの「超長期VUCA時代への備え」に関わる)。

図:米国政府発行の債務証券(米国債含む)保有額 単位:10億ドル

 今回は2023年の金(ゴールド)相場の動向を考えました。ご参考になれば、幸いです。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

※級は筆者の主観

初級:純金積立、投資信託(当社では、楽天ポイントで投資信託を購入することが可能)

純金積立・スポット購入
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
三菱UFJ 純金ファンド
UBSゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)

中級:関連ETF、関連個別株

SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)
バリック・ゴールド(GOLD)
アングロゴールド・アシャンティ(AU)
アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)
フランコネバダ・コーポレーション(FNV)
ゴールド・フィールズ(GFI)

上級:商品先物、CFD

国内商品先物
海外商品先物
商品CFD