農産物相場は長期視点で引き続き高水準を維持

 今回から合計4回、各種コモディティ(国際商品)価格の、2023年の見通しを書きます。初回の今回は「農産物」です。世界各地で生産された農産物の多くは、人間の口に入ります。「食料」となるわけですが、その「食料」の価格は、以下のとおり、急騰しています。

図:食料価格指数の推移 2014年から2016年の36カ月の平均を100

出所:FAO(国連食糧農業機関)のデータをもとに筆者作成

 FAO(国連食糧農業機関)のデータによれば、2022年(11月までの平均)の食料価格指数は、名目が144.9、実質が141.7と、統計史上最高です。「狂乱物価」と呼ばれた1970年代の「オイルショック時」よりも高いことがわかります。

 同指数がウクライナ危機勃発(2022年2月)前の2020年から上昇しはじめた背景には、コロナ・パンデミックからの経済回復、米国の金融緩和(ともに2021年半ばごろまで)、各種異常気象発生、ロシアの軍事侵攻を先取りした供給不足懸念(ともに2022年初旬まで)、などが挙げられます。

 そして、ウクライナ危機が勃発。3月ごろに指数を構成する穀物、食用油、肉、砂糖などが大暴騰しました。

 その後はウクライナ危機起因の不安感の継続、米国の金融引き締め、中国のロックダウンなどによる世界的な景気鈍化懸念、米国の金融引き締め起因のドル高(ドルで取引されている商品にとって下落圧力)などにより、下落しましたが、あくまで「歴史的な高値からの下落」にとどまり、長期視点では高止まりしています。