世界3大穀物の収穫面積はもう増えない?
以下のグラフは、世界全体の世界3大穀物(トウモロコシ、米、小麦)の生産量と収穫面積の推移を示しています。
期間は、1970年から2021年まで約半世紀です。世界全体で世界3大穀物の生産量は増加し続け、半世紀でおよそ3倍になりました。
図:世界3大穀物の生産量と収穫面積の推移(世界全体) 1970年を100
生産量は、収穫面積を増やしたり、単位当たりの生産量を増やしたりすることで増えます。一方、グラフが示すとおり、この半世紀、収穫面積は微増でした。
収穫面積が微増であるにもかかわらず、生産量がおよそ3倍になったのは、単収が飛躍的に向上したためです。
以下は、世界3大穀物それぞれの、単収(1エーカー≒1辺が約63メートルの正方形の面積で生産された量)の推移です。この半世紀で単収は飛躍的に増加しました。
トウモロコシが2.22倍、米が1.97倍、小麦が2.17倍です。世界3大穀物いずれも、同じ面積で生産される量が、2倍になったのです。
世界3大穀物の生産効率を2倍にした要因は何だったのでしょうか。農業における「技術革新(大規模な農場で活躍する農耕機や、病気や天候不順に強い品種の開発など)」、個々の植物の生育を増進させる「化学肥料の使用」が挙げられます。
化学肥料は、窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料の三つに分けられます。植物が生育する上で、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)は、欠かせない栄養素で、植物自身が土壌から摂取することは難しいといわれています。
植物を効率よく生育させ、収穫量を増やすためには、人為的にこれらの栄養素を与える必要があるわけです。