中国、ゼロコロナ解除に向かう?

 米景気と並んで世界景気に大きな影響を与えるのが、中国景気です。ゼロコロナ政策による都市封鎖(ロックダウン)によって今年は低迷が続いています。

 上海のロックダウンは6月で解除されたものの、足元の感染拡大を受けて、直近まで中国主要都市で行動の自由が制約されています。

 それが中国景気にとって重大なリスクとなり、中国株の低迷につながっていました。

ナスダック・日経平均・上海総合指数の動き比較:2019年末~2022年12月2日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所作成、2019年末を100として指数化

 世界的にコロナ後に向けたリオープン(経済再開)が進んでいますが、中国だけ厳格なロックダウンが続けられているのは異様です。二つの理由によって解除できなくなっていると考えられます。

【1】共産党政府の威信

 厳格なロックダウンによって世界に先駆けてコロナを克服したことを習近平政権の功績としているため、変異株の感染が拡大する中でロックダウンを解除すると政権の失点となる。

【2】中国製ワクチンの効力

 中国は、欧米ワクチンを輸入せず、効果が相対的に低い中国製ワクチンを使ってきたため、今リオープンを急速に進めると、感染が急拡大するリスクがあること。

 ただし、先週は、長期のロックダウンに耐えかねた中国市民により、中国全土でロックダウンに反対するデモが起こりました。デモの批判は、「ゼロコロナ政策」のみならず、習政権の独裁や言論統制にまで及びました。

 こうしたデモの広がりを受けて、中国政府はロックダウンを緩め、経済再開を進めると考えられます。これで中国経済が回復に向かう期待が出て、足元中国株の反発につながっています。

 ただし、ロックダウンが完全に解除されるとは考えられません。欧米製ワクチンを使っていない中国でロックダウンを緩めた後に、感染が急拡大して重症者が増えたら、共産党政権の威信にかかわるからです。

 したがって、中国経済および中国株の先行きは依然不透明です。しばらく、中国経済と中国株の動向から目が離せません。

 米国についでGDP(国内総生産)で世界第2の大国につき、来年の世界景気に大きな影響を及ぼすと考えられます。