今日の為替ウォーキング

今日の一言

自分のシステムがポジション保有を指示したら、自分の衝動が何を言おうとも、小さな利益を実現する誘惑に負けてはいけない

Private Eyes

 米アマゾンは例年秋になると、年末商戦に向けて大型採用を行っている。1年前の2021年10月は、物流網強化のために、日本の小売大手イオングループの総従業員数に匹敵する12.5万人の新規採用計画を発表した。それでも足りなくて、一時は出所間近の受刑者をリクルートしたともいわれる。

 昨年((2021年))は、新型コロナ禍を乗り越えた米企業が本格的に活動を再開するなかで、消費増大を見込んで求人が1,000万件以上に膨れ上がった。ところがたった1年で、労働市場の環境は様変わりした。

 求人数の多さは今も続いているのだが、業種によって大きく状況が違ってきている。レストランやホテルなどの採用は相変わらず活発で、飲食店や宿泊施設の客室清掃や配膳係など、比較的低賃金の雇用は伸び続けている。その一方で、高賃金のハイテク企業では採用凍結やリストラが増えているのだ。

 米アマゾンは10,000人の人削減に着手、来年も追加で実施すると発表した。Facebookを運営するメタも従業員の13%にあたる11,000人をカットする。米グーグルの持株会社である米アルファベットは、株主からリストラと、自動運転車部門ウェイモの損失縮小を求められている。ツイッターを買収したイーロン・マスク氏は瞬く間に従業員の50%を解雇してしまった。

「米国のインフレ率を目標値の2%まで引き下げるためには、雇用市場を冷やす必要がある。」と、パウエルFRB議長は述べている。

 パウエルFRB議長が考えるのは、労働力人口の増加による失業率上昇という「良い失業」だった。しかし、米国の労働市場で起きようとしているのは、景気後退のリストラによる人員カットという「悪い失業」だ

 いったん仕事を辞めた労働者や失業給付金を使い果たした人たちが再び雇用市場に戻ってきて、人手不足が解消に向かい、賃金上昇率も低下する状況をFRBは期待していた。しかし、インフレ打倒を最優先にした、大幅利上げという劇薬のせいで、不況とリストラによる真の雇用喪失が発生している。米国のハイテク企業に起きているリストラ・ラッシュがそれを示している。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成