今日の為替ウォーキング

今日の一言

真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である – ナポレオン

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 世界中でインフレが止まらない。日本でも去年に比べてインフレ率が大幅に上昇している。新型コロナの時代の方が、今よりまだ暮らしやすかったかもしれない。

 前年比インフレ率というのは、1年前と比較して今日の物価がどれだけ上がったか(あるいは下がったか)という意味だ。今の物価と比較しているのは世界の多くの地域が新型コロナによる移動制限が課されていた時期である。つまり、1年前のロックダウン経済と、現在のアフターコロナ経済を比較している。ロックダウン経済の物価は異常に低かったり、全く売れない商品は推測の値段だったりした。去年と比べるとインフレ率が急上昇しているように見えるのは、当然といえば当然なのだ。

 主要先進国の統計機関では、CPI(消費者物価指数)のバスケット(消費者が購入する代表的な財・サービスの組み合わせ)を固定し、このバスケットに含まれる財・サービスの購入に必要な価格の変化を計測することで指数を作成している(ラスパイレス指数型物価指数)。

 消費者物価指数のバスケットは、過去の消費習慣を元に作成される。通常、消費習慣というのはそれほど変化しないので、不都合が起きることはなかった。しかし、新型コロナ感染流行とエネルギー価格ショックによって、人々の消費パターンは劇的に変化した。

 食料品や日用品が大幅に値上がりすると、消費者はディスカウント・スーパーで買ったり、PB(プライベートブランド)に切り替えたりする。ガソリン代が高騰するなかでは、休日の車の運転を減らす、あるいは公共交通機関の利用で家計の影響を少なくする。

 しかしCPIは、このような消費者の行動パターンの変化を把握することはできない。CPIが示す数字と実体経済の差は意外と大きい。見た目のインフレ率よりも実際の消費力はそれほど低下してない可能性がある。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成