「直線をあきらめて、曲線を受け入れる」のが資産運用

 前回は「株式100%の投資信託にすればいい」という話をした。なぜそんな決めつけを、責任も取れないくせに言うのか。それを今日は話してみたいと思う。

 2人にはぜひリスクを「途中のリスク」と「最後のリスク」の2つに分けて考える、という理解を持ってほしい。これは、確か僕が今の会社に転職した直後くらいに思いついたものなんだけど、それ以来、実は資産運用で一番大事な考え方なんじゃないかと思ってて、あちこちで言いふらしている自分史上最大級の自画自賛ワードだ。

 まず、この絵を見てほしい。

 投資信託の基準価額でもいいし、その中身である株式の値動きでもいいんだけど、とにかく資産運用って、この絵の通りに曲線なんだ。当たり前と思うかもしれないが。

 本当なら、直線がいいよね。直線というのは、つまり預貯金。スタートからゴールまで直線でお金が増えていくからノーストレス、下に曲がることはないということは、元本割れはない。最高だ。

 でも、今の日本の預貯金金利はとても低いから、この絵のような角度の直線にはならず、地を這うほぼ真っ平の線になる。

 それが嫌だから、それでは将来を描くことができないから、僕や君たちはこの「直線の世界」を捨てるわけだ。直線にこだわっていたら未来はないから、嫌だけど曲線を選ぶことになる。自らの目的のために「直線をあきらめて、曲線を受け入れ」ることになる。これが、リスクのあるもので資産を運用することの本質なんだと思う。

 曲線を使って遊ぶのが好きな人もいる。曲線の振幅が大きいほどギャンブル的な売買は確かにおもしろいだろう。ギャンブルって言うと悪く聞こえちゃうけど、趣味としての投資と考えれば全然悪いことじゃない。でも、僕らはそういう目的ではない。やっている「ゲームの種類」が違うわけだ。