引き締めを緩める条件は整っていない

 パウエル議長がどのような話をするのか、予測することは不可能です。ただし、現在の経済環境を見る限り、引き締めを緩める条件は整っていないと考えられます。

 引き締めを緩める条件として、以下が考えられます。

【1】米国のインフレ低下が加速する
【2】米国の景気悪化が鮮明になる
【3】米国株がさらに暴落する
【4】金利上昇の弊害で金融危機が起こるリスクが生じる

 上記4項目の現在の状況は以下の通りです。

【1】米インフレ:総合インフレ率は9月時点で8.2%。インフレ収束が遅れている。
【2】米景気:製造業の景況低下。サービス産業中心に米景気はしぶとく好調。雇用強い。
【3】米国株:ピーク比でそこそこ下がったが、足元はリバウンド。
【4】金融危機の兆し:英国などに少し出ているが、米国にはまだ無い。

 以上の考察から、パウエル議長が、明確に引き締めを緩める示唆をする可能性は低いと思います。

 引き締めに対して、これまで程強いメッセージを出さず、先行きの引き締めは、「経済指標しだい」というくらいが、考えられる最善のコメントかと思います。

 米国株は、10月21日のウォール・ストリート・ジャーナル紙に、12月以降に利上げピッチが緩む観測記事が出てから、期待先行で上昇していますが、パウエル議長から引き締めを緩めるメッセージが出なければ、失望するリスクもあります。