結局は横ばいが続いた2022年の日本株

 早いもので2022年も残り2カ月を切りました。日経平均株価をみると、2022年は上がったり下がったりの小動きに終始し、ぱっとしない1年だったなあ、という印象を受けます。

 個別銘柄をみても、特に金利上昇の影響を受け、高PER(株価収益率)の成長株が大きく売られるなど、株価が下がったものが目立ちました。

 ただ、そんな中で株価が大きく上昇した銘柄もあります。「この銘柄を上昇初期に買っていれば大きな利益になったのに…」と思っている人も少なくないと思います。

 では、日経平均の膠着(こうちゃく)状態が続き、株価が下がる個別銘柄の多い中、大きな上昇を遂げた銘柄を選んで投資することがそもそもできるのか? できるのであれば、どのようなことをする必要があるのか?

 今回のコラムはその点について考えていきたいと思います。

なぜ上げ相場で利益が得やすく膠着相場で利益が得られないのか

 そもそも、なぜ上げ相場では利益が得やすいのかといえば、大部分の個別銘柄の株価が上昇するからです。

 したがって、何も考えずに適当に個別銘柄を買っても、株価が上昇することで利益を得ることができます。

 ところが、膠着相場であれば多くの個別銘柄は株価が上昇しません。中には株価が下がるものも数多くあります。そのため、上げ相場よりも格段に利益を得られにくくなります。

 例えば、10銘柄に投資したとして、上げ相場であれば8~9銘柄が上昇するので、十分に利益を得ることができます。

 しかし膠着相場では10銘柄投資しても上昇するのはせいぜい2銘柄くらい、逆に株価が下がってしまうものもあるので、トータルでプラスにするのが難しくなります。

 ですから膠着相場で利益を得るためには、数ある個別銘柄の中から、株価が上昇する銘柄をうまく探し当てなければいけないことになります。

株価が上昇している銘柄の特徴とは?

 膠着相場においても株価が上昇している銘柄の特徴はいくつかありますが、主なものを挙げれば「好業績」と「変化」です。

 好業績というのは、言葉の通り業績が好調で、増収増益が続いている銘柄です。ただし、多くの成長株はPERが高くなるまで買われ過ぎたこともあり、2020~2021年に天井をつけて下落に転じていますので、それらの銘柄を2022年に買っても利益を得ることはできませんでした。

 そのため、好業績の銘柄に絞って銘柄選びをすると、好業績なのに逆に株価が下がり続けるケースも目立っていたので、かなり苦戦したのではないかと思われます。

 もう一つの「変化」とは、これまで業績がそれほど好調ではなかったものが、一気に好転する、といったケースです。

 直近であれば、新型コロナウイルスの感染拡大がピークアウトしたことに伴い、旅行や観光、インバウンド(訪日外国人)関連の銘柄が一斉に上昇したことが記憶に新しいと思います。

 2022年だけでみれば、この「変化」に着目した銘柄選びが奏功したのではないかと感じます。

業績の変化をどのようにつかめばよいのか?

 では、個人投資家は業績の変化をどのようにつかめばよいのでしょうか?

 例えば会社四季報をみて、前号と最新号とで業績予想にプラスの変化があったかを比較するのが一つのやり方です。

 実際、会社四季報を毎号見ると、前号と比べて業績予想が大きく変化している銘柄は結構あります。これらをピックアップし、あとは株価チャートをみて買うべきタイミングで買えばよいのです。

 株価は「変化」を好みますから、増収増益が続いている銘柄ではなくても、今までより一気に業績が好転すれば、株価は大きく上昇することが多いものです。

 また、変化を自分自身で感じとることも重要です。感染拡大がピークアウトし、外国人の受け入れが緩和され、全国旅行割も始まり、ホテルの予約が取りにくくなっている…。こうした変化にいち早く気付くことで、変化による恩恵を受けるであろう業種や銘柄をあらかじめピックアップしておくことができます。

 そして、それらの銘柄が実際に上昇を始めたらできるだけ初期の段階で買っておく。これができた個人投資家は、今年もそれなりの投資成果を得られたのではないかと思います。

企業分析に時間をかけられない個人投資家の「次善の策」

 でも、会社四季報を読みこんだり、企業が開示している資料を見て回る時間がない、という個人投資家の方も数多くいることでしょう。筆者も最近は仕事が極めて多忙なため、株式投資で銘柄分析に充てられる時間はほぼ皆無です。

 そんな方にとっての次善の策として、「年初来高値更新銘柄のチェック」があります。

 年初来高値更新銘柄というのは字の通り、今年に入ってからの最も高い株価を更新した銘柄のことです。ということは、その銘柄の株価は実際に足元で上昇しているわけです。もっといえば、機関投資家や外国人投資家といった大口投資家が実際に買っているから株価がそこまで上がっている、と想定することができるのです。

 実際、株価が大きく上昇した旅行や観光、インバウンド関連銘柄は、軒並み年初来高値を更新していました。

 年初来高値更新銘柄をチェックすることで、今どのような銘柄が買われているかが分かるのです。それらを同じように買っていけば良いのです。

 ただし、年初来高値更新銘柄は、足元で株価が大きく上昇していて、買うタイミングとして適さないことが多々あります。そんな時は、押し目をつける(上昇基調にある銘柄が一時値下がりする)など安く買えるようになるのを待つことになります。もし、株価上昇が続いて買い時を逃してしまったときは、縁がなかったと諦めましょう。

 また、年初来高値更新ということは、安値からすでに株価が上がってしまっているのも事実です。銘柄分析を丹念に行って、株価上昇の初動に乗る方法と比べると、得られる利益がだいぶ小さくなってしまう点は理解しておきましょう。

 要は、銘柄分析に時間と労力をかければそれだけ大きな利益を狙えますが、時間をかけられない人もそれなりの利益は得られるということです。

 ただ、実際にやってみると分かりますが、思ったほどうまくいかないケースも多いです。膠着相場では大きな利益を目指すよりは、余計な行動をして大きな損失を被ってしまうのを避けることを第一に考えるべきでしょう。

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