※写真:LintaoZhang/GettyImagesNews/ゲッティイメージズ提供

 10月16~22日の日程で開催された中国共産党第20回全国代表大会が閉幕し、23日正午(北京時間)、新たな指導体制として、中央政治局常務委員の7人がお披露目となりました。本レポートでは、新指導部の顔ぶれを整理、検証しつつ、それが今後の中国経済にどのような影響を及ぼすのかを考えてみたいと思います。

北京の人民大会堂でお披露目された中央政治局新常務委員7人

 23日、日本時間12時45分ごろから、私は固唾(かたず)を飲んで中国の国営テレビ中国中央電視台(CCTV)の生中継を見守っていました。日本と中国には1時間の時差があり、北京時間の正午くらいに、新たに選出された中央政治局常務委員が北京の人民大会堂でお披露目されることは、前日の時点で発表されていました。

 5年に1度の党大会です。習近平(シー・ジンピン)総書記が異例の続投をすることが確実視されていましたが、これまでも本連載で適宜扱ってきたように、より重要なのが、習氏がどんな布陣で第3期目入りするかでした。常務委員が何人なのか、誰が入って誰が抜けるのか、総理候補は誰になるのか…。

 日本時間の13時になっても、CCTVの画面は人民大会堂のお披露目会場に変わりません。依然として、同局を代表する女性キャスターである労春燕(ラオ・チュンイエン)氏が、2人のコメンテーターに話を聞いています。

 ちなみに、私は北京で学び、働いていた頃、コメンテーターとして度々CCTVの時事番組に出演していましたが、労氏は最も頻繁に組んだキャスターであり(当時はそこまで有名ではなかった)、党大会生中継番組のアンカーを任されるまでになったのだなと、感慨深く思いました。

 数分が過ぎて、労氏がようやく「それでは人民大会堂に画面を移しましょう。新たな常務委員のお披露目です」と言うと、私の緊張のボルテージも最大限に上がりました。生中継のカメラが新常務委員らの出てくる黄金の扉をとらえ、しばらくすると扉が開きました。

 先頭で出てきたのは習近平氏、予定通り3期目入りの確定です。問題は誰がそれに続くか。数秒がたち、常務委員の数が現状維持の7人であることを確認。ここまでは良かったのですが、習氏の後ろを歩いているのが、私自身想定していた胡春華(フー・チュンファ)・現国務院副総理ではなく、李強(リー・チャン)・現上海市書記だったこと、7人の中に、長身故にひと際目立つ蔡奇(ツァイ・チー)・現北京市書記がいることに驚きを隠せませんでした。しばらくの間呆然としてしまい、習氏が続けて行った演説の中身が耳に入ってこなかったほどでした。

 従来の序列5位から4位に上がった王滬寧(ワン・フーニン)・現中央書記処書記を除いて、他の5人全員が習氏によって引き上げられた人間だと察知するのに時間はかかりませんでした。王氏は国際政治学者出身で、江沢民(ジャン・ザーミン)、胡錦涛(フー・ジンタオ)政権にも仕えた人物で、「無派閥」だと解釈できますが、いまは習氏を特に思想やイデオロギーといった見地から支える立場にあります。

 過去5年の「習近平一強」体制から、「習近平派一色」体制へと推移した事実を物語っていました。