3 ひろぎんHD(7337・東証プライム)

 2020年10月に持ち株会社化。地銀上位行の広島銀行が中核で、ひろぎん証券やひろぎんリースなどをグループに抱えています。広島銀行は広島県を中心に、岡山県、山口県、愛媛県で主に事業展開、預金等残高は4県で約98%、貸出金残高は約63%を占めています。

 預金等残高、貸出金残高は中四国地方に本店を置く地域金融機関の中でトップ、全国の地域金融機関の中でも7~8位を占めています(数値は全て2021年9月時点)。広島銀行単体の自己資本比率は、2022年6月時点で9.82%となっています。

 2023年3月期第1四半期純損益は89.6億円で前年同期比26.0%増益となっています。広島銀行の増益がけん引役となりました。有価証券利息配当金と法人ソリューション収益の増加に加えて、経費や与信費用などの減少も増益要因となっています。

 通期予想は250億円、前期比9.1%増を据え置いていますが、第1四半期の進捗率は36%に達しています。年間配当金は前期比3円増配の27円を計画しています。

 米国長期金利の低下は一般的に銀行株にとってはマイナス材料となりますが、地銀にとっては、緩和状態が長期化している日本の金融正常化がプラスとなってくるでしょう。厳島神社や平和記念公園など広島県は観光資源も豊富であり、今後は水際対策緩和によるインバウンド需要も地域経済活性化につながるとみられます。

 広島銀行は、2020年度のメインバンク社の増加数が全国で第2位にもなったようです。0.1倍台のPBR(株価純資産倍率)水準には割安感が顕著であるともいえそうです。

4 T&DHD(8795・東証プライム)

 大同生命、太陽生命、T&Dフィナンシャル生命の生保3社を中核とする生命保険グループです。ペット&ファミリー損保なども抱えるほか、T&Dアセットマネジメントで資産運用関連事業も手掛けています。保有契約高の市場シェアは7.0%で業界第6位となっています。

 太陽生命は家庭市場をターゲットに大都市圏・地方中核都市に集中展開し、大同生命は中小企業市場に特化して強力な代理店網を築いています。T&Dフィナンシャル生命は多くの提携代理店を抱え、そこを通して、貯蓄性商品や保障性商品を家庭市場に提供しています。

 2023年3月期第1四半期純損益は593億円の赤字で、前年同期比274億円の損益悪化となりました。フォーティテュード社の再保険資産にかかる評価性損失の発生が966億円の損益悪化要因になりました。一方、経営実態を表す指標であるグループ修正利益は386億円で同60.2%増益となっています。

 2019年7月にグループ化したT&Dユナイテッドキャピタルがけん引する形になっています。2023年3月期通期のグループ修正利益は1,060億円で前期比2.7倍、純利益は170億円で同19.9%増益見通しとしています。前期に発生した特殊費用の一巡が大幅増益の背景になります。年間配当金は前期比6円増の62円を計画しています。

 生命保険株は銀行株と同様に金利の上昇局面で買われやすくなります。逆に、米国の金融引き締め緩和が強く意識されるようだと、株価には買い手控えムードが強まる可能性もあります。

 ただ、会社側では現状の株価に対する不満も強いとみられており、早い段階での自己株式取得発表が期待されます。とりわけ、株価下落場面は買い場と捉えたいところです。なお、円安は外債利息の増加など業績上振れ要因につながるとみられます。

5 中電工(1941・東証プライム)

 中国電力系の電気工事会社です。中国電力を主要顧客とする配電線工事、送変電工事のほか、ゼネコンや製造業、ホテルなどに向けた屋内電気工事、空調管工事、情報通信工事を手掛けています。

 地域別では中国地域が9割弱を占め、残りは都市圏で、マレーシアやシンガポールなど東南アジアに子会社を設置と海外にも事業拡大を図っています。都市圏・海外の売上構成比が年々高まっています。電力系設備工事会社の中では、相対的に自己資本比率が高い状況にあります。

 2023年3月期第1四半期営業利益は1.2億円で前年同期比57.8%減益となりました。屋内電気工事分野における一部工事の立ち上げ遅れなどが響いたようです。同様の理由によって、上半期予想は従来の30億円から25億円に下方修正していますが、下半期以降は遅れの解消が見込めるとして、通期予想は86億円から91億円、前期比4.1%増に上方修正しています。

 屋内電気工事の受注高は第1四半期も2割超の増加となっています。年間配当金は前期並みの104円を計画しています。

 配当政策はDOE(株主資本配当率)2.7%をメドとしており、結果、配当性向や配当利回りは業界内でも高い水準となっています。業績変動による減配リスクが小さい点は妙味になるでしょう。

 また、原発再稼働などによって中国電力の収益向上が図れれば、同社にとっても追い風となるでしょう。また、総資産に占める投資有価証券は39%を占めており、保有有価証券の売却益を原資とした自社株買いの余地なども大きいとみられます。