日本株が堅調な三つの理由

 3月以降、米国株が弱い中で日本株は相対的に堅調です。日本株堅調な理由は、以下三つです。短期的には、米国株の下落につれて、日経平均も下げが続く可能性がありますが、以下の理由により、日経平均はナスダックよりも相対的に下落率が低い状況が続くと予想しています。

【1】円安

 1ドル=148円台に乗せる円安(ドル高)が進みました。円安は日本の企業業績には大きなプラス要因です。円安による輸入物価の上昇が国民生活にマイナスなので「悪い円安」とメディアで盛んに言いたてていますが、企業業績にはプラスです。
 日本株の動きを支配している外国人投資家から見ると、円安は、「日本の金融資産や不動産をドルで安く買う機会」と映る面もあります。以下の通り、ドル建て日経平均は大きく下落しています。

ナスダック・日経平均・ドル建て日経平均の動き比較:2019年末~2022年10月14日

出所:QUICKより作成、2019年末を100として指数化

【2】リオープン(経済再開)への期待

 日本は、リオープン(経済再開)で、コロナで抑え込まれていた消費が一時的に大きく伸びる可能性があります。全国旅行支援が始まってから初めての土日となった10月15~16日はさっそく旅行客で人気スポットがにぎわっていました。外国人旅行者の受け入れを増やす方向にあることにも、期待があります。

【3】日本の企業業績が良好

 好調だった2022年3月期に続き、今年度(2023年3月期)も小幅ながら増益が見込める可能性があります。以下が、東証上場主要841社の業績推移です。今期、楽天証券では、連結純利益が4.2%の増益になると予想しています。

東京証券取引所上場、3月期決算主要841社の連結純利益(前期比)

出所:楽天証券経済研究所が作成
注:2017年3月期より2021年3月期までは東証一部上場の主要841社から計算、2022年3月期・2023年3月期は東証プライム上場の主要841社から計算。東証一部主要841社のうち、東証再編でプライム市場に入らなかった54社は除外し、プライムに入った銘柄と入れ替え

 日本株への投資方針は、毎週述べていることと変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えていると考えています。ただし、短期的なショック安は終わっていないのでリスク管理が大切です。時間分散しながら少しずつ買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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