政府・日銀が24年ぶりに「円買い・ドル売り」の為替介入

 9月22日の夕方、政府・日本銀行が24年ぶりに「円買い・ドル売り」の為替介入を行いました。それまでは口先介入のみで、実際の介入を行ってきませんでしたが、タイミング的に効果的だったのか、介入によりそれまで1ドル=145円89銭まで円安が進んでいたものが、一瞬で1ドル=140円67銭まで5円も円高になりました。

 ただし、介入の後は再び円安に進み、9月24日朝の時点では143円35銭まで戻っています。

 政府・日銀にとってもさすがにここまでの円安は行き過ぎだとして、為替介入という形で強いメッセージをマーケットに伝えたことになります。

 では、実際に円安の影響は株式市場にどのように生じているのでしょうか? また、円高に振れた場合、どのような影響が考えられるでしょうか?

急激な円安により日本株は「かさ上げ」されている

 今は日本株の売買シェアの6~7割が外国人です。すでに株式市場はグローバル化しており、よほどその国独自の強い材料がなければ、どの国の株式市場もおおむね同じような動きになります。

 特に「世界同時株安」「〇〇ショック」のような急落時はどの国のマーケットも大きく株価が下がってしまいます。

 ただ、今年に入ってからの動きをみると、日経平均株価はダウ工業株30種平均(NYダウ)よりかなり強い動きになっていることが分かります。

 9月23日時点で、日経平均は今年の高値からの下落率が8%ほどにとどまっています。一方、NYダウの今年の高値からの下落率は20%に達しています。

 なぜこのような結果になっているのでしょうか? 考えられる大きな要因は「円安」です。

もし円安が進行していなければ今の日経平均は2万円?

 金融マーケットもやはり米国を中心に動いています。米国人は当然ながら米国の通貨である「米ドル」のベースで損益・パフォーマンスを測定しています。

 2021年2月15日のドル/円相場は1ドル=105円35銭でした。このときの日経平均は3万84円15銭でした。

 これをドル建てに換算すると、285.56ドルです。

 そして2022年9月21日のドル/円相場は1ドル=144円03銭でした。日経平均は2万7,313円13銭でした。これをドル建てに換算すると、189.64ドルになります。

 では、2022年9月21日のドル/円相場が2021年2月15日と同じ水準である1ドル=105円35銭のままだったとしましょう。

 このレートでドル建ての日経平均を円換算すると、189.64×105.35=1万9,979円となります。

 もし円安が進行しなかったとしたら、足元の日経平均は2万円割れまで下落していたかもしれなかったのです。これが2万6,000円台までの下落で済んでいるのですから、株式投資に限って言えば、円安のおかげで大きな損失を被らずに済んだといえます。

今後円高に振れたらどうなるのか?

 株価もそうですが、為替レートもよほどの特殊要因がない限りは上がったり下がったりと波を打つように動くものです。

 円安に動いてからすでに1年半以上が経過していますし、日銀の為替介入がきっかけとなり、円安から円高の流れに変化してもおかしくありません。

 では、もし今後円高に振れたらどうなるのでしょうか? 簡単に言えば、今までと逆のことが起こります。円安によりかさ上げされていた株価が剝げ落ちてしまうことになります。

 今までは日経平均よりNYダウの方が大きく下落していましたが、これとは逆にNYダウがそれほど下がらない中、日経平均が大きく下落してしまうかもしれません。

 ですから、円高と株安が同時に訪れたら、かなりの急スピードで日本株が下落していくことを覚悟しておく必要があります。

株価も為替も予想するのではなくトレンドに従って動こう

 9月22日の日銀の為替介入を受け、識者や専門家らが今後の為替相場の動きについて解説したり予想したりしています。

 でも、ここまで急速な円安を今年初めの時点で予想できた専門家が皆無であることからもわかる通り、専門家の予想は当たらないのが常です。そもそも各専門家が今後の見通しについてバラバラなことを言っているわけですから、誰かは当たるかもしれませんがそれ以外の多くは当たらないことになります。

 ですから、株価もそうですが、為替相場についても「〇〇円まで円安になる」とか「ここから〇〇円まで円高が進む」といった予想は意識する必要がありません。

 そうではなく、為替相場のトレンドを株価チャートにて読み取り、そのトレンドに従った行動をすることが重要です。

 例えば、2021年はじめから今までの間、「そろそろ円安が収まる」と予想して円買い・ドル売りを実行した投資家は、円安の想定外の進行で大きな損失を被ったはずです。

 これと同様、もしトレンドが反転して円高方向に向かったのであれば、「円高になるなんておかしい!!」と円売りのポジションを積むのではなく、逆に円買いのポジションをつくるべきなのです。

 円売りをしたいのであれば、円高が止まり再び円安のトレンドになるのを待って、それから円売りのポジションを構築すればよいのです。

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