改めて、中国とどう付き合うか

 最後に、正常化50周年を迎えるこの日に、改めて日本として、日本人として、中国とどう付き合うべきかを三つの視点から考えてみたいと思います。

 一つ目が、不確定に強国化する中国をどう理解するかという点です。習近平政権、中国経済、規制強化、台湾有事、米中関係、軍事強国、ロシア支援…など日々話題に欠かない中国ですが、そんな中国が、これからの50年、どのように歩みをみせるのか、その上で、どこへたどり着こうとしているのか、そしてたどり着くのかを真剣に見ていくことが、中国と付き合う上で求められる基本的姿勢であり、大前提だと思います。

 二つ目に、何はともあれ日本・日本人にとって、政府、民間を含め、「引っ越しのできない巨大な隣人」と付き合っていく以外に選択肢はないという点です。ウクライナ、北朝鮮、台湾など地政学リスクは山積しますが、辛抱強く交渉し、自国の安全を守らなければならない。と同時に、少子高齢化や環境問題など日中共通の課題で協力を模索し、自国の成長を促すことも求められる。守りと攻め、両方をこなしていく必要があるということです。

 三つ目に、日本国民にとっての真の課題は、そんな中国の台頭を、日本の持続可能な安定と成長を実現するためのレバレッジ(てこ)にするという点です。大切なのは、日本人自身がどうありたいか、そのためにどう行動するかにほかなりません。「習近平さんは怖い、中国は何を考えているか分からない」といったコメントをしばしば耳にします。もちろん、中国の言動で警戒すべきは警戒し、けん制すべきはけん制し、抑止すべきは抑止すべきです。中国が「良い人」などと断定できる根拠はどこにもありません。ただ、受け身で怯えるのではなく、主体性を持って付き合うこと、中国という存在から日本人として何を得るのかという姿勢を持って中国と付き合うことで、少なくともより前向きになれるのではないかと思うのです。