「ワンストップ特例」の4大失敗

 ワンストップ特例は便利ですが、落とし穴もあります。以下、私が聞いたことのある4大失敗と、失敗してしまった時の対策をお伝えします。失敗し、「確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請する」のが善後策となります。

失敗談1 ワンストップ特制度例申請書を1年間で六つの自治体に出してしまった。

 ワンストップ特例申請書を六つの自治体に出すと、全てが無効となります。そのまま放置しておくと、税額控除がまったく受けられなくなります。

 もし間違えて今年、六つの自治体にワンストップ特例申請書を出してしまった場合、ふるさと納税の適用を受けるためには、来年2月16日~3月15日までの間に確定申告するしかありません。確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請すれば、ふるさと納税全額について、きちんと税額控除が受けられます。

 一つの自治体に複数回ふるさと納税を行い、複数回返礼品を受け取る場合、ワンストップ特例制度の申請書は、寄付する都度、提出する必要があります。同じ自治体に寄付するならば、何回寄付しても自治体の数は一つと数えられます。紛らわしいので、以下、きちんと理解してください。

★六つの自治体にワンストップ特例申請書を提出→全て無効
★四つの自治体に1回、別の一つの自治体に2回申請書を提出→全て有効

 なお、一つの自治体に複数回ふるさと納税をした場合、返礼品が複数回受け取れる場合と、返礼品は1回限りの場合があります。自治体ごとに対応が異なりますので、よく内容を確認してください。

失敗談2 一部の自治体にワンストップ特例申請書を出し忘れ

 一番多い失敗は、申請書の出し忘れです。1年間に五つの市区町村にふるさと納税する場合、ワンストップ特例申請書を、五つの自治体全てに出す必要があります。四つの自治体には出したが、一つの自治体に出し忘れた場合、出し忘れた自治体への寄付では税額控除が得られません。

 一つの自治体に2回ふるさと納税を行い、1回しかワンストップ特例申請書を出さなかった場合は、申請書を出さなかった寄付は税額控除の対象となりません。

 今年、すでに五つの自治体にふるさと納税してワンストップ特例申請書を出したはずだが、「ひょっとして出し忘れたかも」と思う時、どうしたら良いでしょうか。自治体に確認する方法もありますが、それよりも簡単なのは確定申告することです。ワンストップ特例申請書を出して、かつ確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請すれば、確定申告が優先されます。

「ワンストップ特例申請書を出し忘れたかも」と思う人は、確定申告してしまうのが良いと思います。確定申告には、ふるさと納税の「寄付金受領証明書」が必要です。失くさないように保存しておいてください。

失敗談3 ワンストップ特例申請書を出した後、住宅ローン税額控除(初年度)や医療費控除を受けるために確定申告した

 ワンストップ特例申請書を出して、かつ確定申告をした場合、確定申告が優先されるので、ワンストップ特例制度申請は無効となります。確定申告しないつもりでワンストップ特例申請書を出していたのに、急に確定申告する場合は、注意が必要です。

 例えば、急に医療費の金額が大きくなり、医療費控除を受けるために確定申告することになった場合、その確定申告書で、ふるさと納税「寄付金控除」も申請する必要があります。そうしないと、ふるさと納税の税額控除が受けられなくなります。

 確定申告するとワンストップ特例申請は無効になることを、覚えておいてください。

失敗談4 ワンストップ特例申請書の提出が期限に間に合わなかった

 ワンストップ特例申請書は、寄付した翌年の1月10日までに自治体へ提出(必着)しなければなりません。年末ぎりぎりにふるさと納税をすると、提出が間に合わなくなることもあります。提出が間に合わなくなると、その分、税額控除が受けられません。

 もし間に合わなくなってしまった時は、「確定申告」するしかありません。確定申告をすることによって寄付金控除を受けることができます。

 以上、ワンストップ特例で失敗した時は、確定申告するのが基本です。確定申告でふるさと納税の寄付金控除を受ける方法を一度覚えてしまえば、そちらの方がワンストップ特例申請書をいくつも出すより楽かもしれません。