CPIショック:エネルギー価格低下もサービス価格が上昇

 8月の米インフレ率が、ナスダック一段安につながりました。エネルギー価格がピークアウトしていることから、インフレ沈静化の期待が広がっていましたが、サービス価格の上昇が想定以上で、インフレが簡単に収束しないことが嫌気されました。

米インフレ率(CPI総合指数・コア指数前年比上昇率)推移:2020年1月~2022年8月

出所:米労働省

 8月の米インフレ率は8.3%でした。7月の8.5%よりわずかに低下したものの、市場予想を上回る水準でした。

 ネガティブ・サプライズだったのは、エネルギー・食品価格上昇の影響を除いたコア・インフレ率が、7月5.9%から8月6.3%へ上昇したことです。米景気がいまだに堅調であること、労働市場ひっ迫が続いていることを受けて、航空運賃などサービス価格の上昇が続いていることが影響しました。

 以下の通り、米雇用、ISM景況指数も堅調であることが、さらにインフレに対する不安を強める要因となっています。

完全失業率:2014年1月~2022年8月

出所:米労働省

ISM景況指数の推移:2018年1月~2022年8月

出所:米国ISM供給公社

 米景気が好調であることは、本来株式市場にとってプラス材料になるはずです。ところが、FRBがインフレ抑制のために急ピッチの金融引き締めを続ける方針を示している中では、株式市場にとって米景気がしぶとく好調であることも、悪材料とみなされる状況が続いています。