日経平均は強いのに個別銘柄はイマイチ。こんな時どうする?

 株式投資を長年行っていると、「日経平均株価が強いのに自分の持ち株は全然上がらない…」というシーンに出くわします。こんな時、「日経平均に投資していればな」と思いませんか?

 筆者が株式投資を始めた頃は、日経平均に投資したくてもできませんでした。でも、今は非常に便利な時代で、例えば日経平均に連動するタイプのETF(上場投資信託)がありますから、これを買えば日経平均に投資できます。

 もう一つ、日経平均とほぼ同じ動きをするものがあります。それが「日経平均先物」です。筆者はこの日経平均先物を活用し、個別銘柄とは別の形での利益を追求しています。

 日経平均先物へ投資すれば、個別銘柄がイマイチでも日経平均の上昇により利益を狙うことができるからです。

日経平均先物のメリット1:レバレッジにより資金効率を高めることができる

 例えば100万円の投資資金があったとしましょう。この資金で日経平均に連動するタイプのETFを買うとなると、当然ながら100万円分しか買えません。

 信用取引を使えば、約3倍までレバレッジを掛けられますが、それでも300万円分です。

 実は個別銘柄と異なり、日経平均はあまり大きく動きません。個別銘柄であれば1日に5%くらい平気で動きますが、日経平均が1日に5%動くということはめったにありません。

 ということは、個別銘柄に100万円投資する感覚で日経平均連動型のETFに投資すると、個別銘柄より値動きがかなり小さいので、資金効率が落ちてしまいます。

 個人投資家が投資できるお金には限りがあるので、資金効率は高めておきたいところです。その点日経平均先物はレバレッジが20倍ほどかけられますから、個別銘柄に比べた値動きの小ささをレバレッジにより十分カバーできます。

 8月26日時点で日経平均先物ラージの1枚当たりの証拠金は138万円、日経平均先物ミニの証拠金は13万8,000円です。

 日経平均先物ミニの1枚は、日経平均株価×100倍なので、足元の日経平均2万8,000円前後で計算すると、13万8,000円の資金で280万円分の取引ができることになります。

 無論、レバレッジを目一杯かける必要はなく、ご自身の無理のない範囲で取引量を調整すればよいのです。

日経平均先物のメリット2:買いでも売りでもOK

 日経平均先物は、日経平均株価が上がっても下がっても利益を狙うことができます。もし今後日経平均が上がると思えば先物を買えばよいですし、逆に日経平均が下がると思えば先物を空売りすればよいのです。

 日経平均連動型のETFも空売りはできますが、上記メリット1の通り、先物の方が高いレバレッジにより資金効率を高めつつ取引できますので、個人的には先物の方が使い勝手が良いと感じます。

日経平均先物のメリット3:窓が開きにくい

 このメリットは筆者が先物の優位性を強く感じているものです。例えば米国株が大きく下がると、翌日の日本株も通常は大きく値下がりしてスタートします。

 そのとき、売却しようとしていた持ち株も窓を開けて寄り付きから大きく下がってしまうことが多く、売りたい価格で売れないという事象が多発してしまいます。

 損切りしようとしていた銘柄であれば、損失が想定以上に膨らんでしまうことになります。

 また逆も然りで、買おうとしていた銘柄が、前日の米国株急騰の影響を受け、寄り付きから窓を開けて急上昇し、買うタイミングを逃してしまうことはよくあります。

 この、寄り付きに窓を大きく開けてしまう現象は多くの個人投資家にとって悩みの種なのではないでしょうか。

 しかし日経平均先物は翌日の朝6時まで市場がオープンしています。そのため窓が開きにくくなっているのです。

 現物株であれば、15時に市場がクローズし、翌日9時に市場がオープンするまでの時間に米国株が大きく動くといった理由で、窓を大きく開けて寄り付いてしまいます。

 でも日経平均先物は、米国株がオープンしている時間でも取引できます。そのため、例えば米国株が大きく値下がりすれば日経平均先物もタイムリーに値下がりします。ですから、日経平均先物を買った後、損切り価格に到達したら損切りするという逆指値注文を入れておけば、売りたい価格で売ることができるのです。

 例えば2万8,000円で先物を買った後、米国株急落の影響で先物が2万7,000円まで下落してしまったとします。

 このとき、2万7,500円で損切りの逆指値注文を入れておけば、先物が2万7,500円に到達した時点で売却注文が発注され、2万7,500円近辺で売却することができます。

 でも、ETFであれば2万7,500円で損切りの売却注文を入れていても、翌朝の寄り付きは2万7,000円まで下げて寄り付くことになりますから、想定より大きな損失で売らざるを得なくなってしまうのです。

 ここに先物の大きな優位性を見いだすことができます。

先物取引の注意点は?

 最後に、日経平均先物の取引をする際の注意点を2点ほどお伝えしておきます。

 まず、先物取引は高いレバレッジがかかる分、うまくいかなかったときの損失も大きくなります。

 したがって、想定外の損失を被らないよう、損切りは必ず実行するようにしてください。損切りを絶対に実行できるという自信がない方は、先物取引は危険ですので行わないようにしましょう。

 また、夜間も取引が行われ、上で述べたように米国株が大きく動くと先物価格もそれにつれて動きます。寝ている間に含み損がとてつもなく膨らんでしまった…ということのないよう、逆指値注文を活用して損切り注文をあらかじめ入れておくことを強くお勧めします。

 もう一つの注意点が、祝日は取引が休みという点です。米国株のマーケットが開いている時間にも取引ができるのが日経平均先物の魅力ですが、祝日はその限りではありません。

 いつも不思議に思うのですが、日本が祝日のときに米国株が大きく動くようなことがよくあります。そうなると、上で説明したように、あらかじめ損切りの逆指値注文を入れておいたとしても、日経平均先物は動いていないので、損切りがタイムリーに実行されず、含み損が想定外に膨らんでしまうことがあります。

 祝日を挟む場合は、祝日の前にいったんポジションを閉じておくのもリスク回避の面から有効だと思います。

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