読者からよく受ける質問に回答:非課税期間が満了するまでに売る必要ある?

 枠を得てからNISAなら5年後、つみたてNISAなら20年後に、非課税期間は満了します。5年前(2018年)に得たNISA枠は、今年(2022年)の年末で終了します。

 2018年のNISA枠で買った株が大幅に値上がりしているが、非課税枠が無くなる前に売った方がよいか、というのが、よくある質問です。

 NISA口座で投資した株などの金融商品を期間満了前に売る必要はありません。そのまま保有し続ける場合、保有している金融商品は、課税口座に移管されます(注:非課税期間の延長・ロールオーバーをしない場合)。

 課税口座に移管される金融商品の簿価(買値)は、非課税期間が満了した年の年末の時価となります。例えば、NISA口座でA社100株を1,000円で投資したとします。

 その株が、NISA期間が満了する5年目の年末に1,500円に値上がりしていたとします。すると、課税口座に移管されるA社の簿価(買い値)は、1,500円となります。

 したがって、課税口座に移管されたA社株を1,500円で売っても売却益は発生しないので課税されません。

 ただし、課税口座に移管されたA社株を1,600円で売却した場合には、1,500円からの100円の値上がり分だけに課税されます。一方、A社株を、1,300円で売却した場合には、1,500円からの値下がり200円分の売却損が発生します。

 ここで、一つ注意が必要です。NISA口座で1,000円を投資したB社100株が、NISA期間が満了する5年目の年末に800円に値下がりしていたとします。

 すると、課税口座に移管されるB社の簿価(買い値)は、800円となってしまいます。

 このB社株が1,000円に戻ってから売った場合に、800円から1,000円の値上がり200円に課税されます。もともと1,000円で買った株を1,000円で売るのに、簿価が800円に下がってしまっているために、売却益が発生してしまうわけです。

 このように、投資した銘柄が値上がりする場合は、売却しなくても値上がり分が非課税になるメリットがありますが、投資した銘柄が値下がりしている場合は、非課税期間満了時に、簿価が下がってしまうデメリットがあります。