すべては結果論だけど
20年間、投資信託の積み立てをしてきて、最初からずっとひどい状態が続いたのが、ここにきて大きな資産になった。それは、積立を止めなかったから。ここまでの話をどう感じただろう。
自分で話してて思うけど、これってすべて結果論だよね。
もし日経平均が今も1万円あたりをウロウロしてるような日本株市場だったら、僕の積立元本1,320万円はまだマイナスなんだろう。口数は長いこと増加中だったから、ちょっとでも日本株が上がってくれればプラスになっていくんだろうけど。
何回か前に「結局は、運」みたいなこと言ったけど、あの時よりもその意味は伝わっていると思う。
どれだけ過去のことを学んでも、どれだけ慎重にファンド選びをしても、これからの君らの20年は僕のとは絶対同じにはならないし、予想もつかない。
でも僕の20年から学べることは2つあると思う。それは。
投信積立が報われるための秘訣は、
(1)株式市場にはとにかく“ボーっと”居続けること
(2)「下がった時が嬉しいんだ!」という“やせ我慢”
という2つ。
仕事に集中して放っとけ、って話したけど、本当にそうしてほしい。
積立の「初期設定」、ファンド選びやボーナス時のアクション方針、つまり、まとまったお金の振り向け方については深く考えて決めてほしいんだけど、それが終わった後は本当に忘れたかのような過ごし方をしてほしい。
その“ボーっと”したフリで放っておく「意志ある楽観主義」を貫くために持っておきたい理解が、僕の2度の暴落時の話なんだ。
つまり、投信積立において「下がっていることは実はいいこと」「最後に笑うために必要な、口数のため込みを今やってるんだ」っていう理解。
経済は右肩上がり
ところで、20年どころじゃない長い世界経済の歩みに想いを馳せてみて思うのは、経済はずっと成長してきたという事実。
投信を使った資産形成って、この経済成長の力を賢く活かす試みだと思うんだけど、その前提として求められるのが「経済は右肩上がりだったし、今後もそうに違いない」という信念だと思う。
一人ひとりの投資がどうなるかは結果論でしかないわけだけど、経済自体は、そしてそれを反映する株式市場自体は、いろんな「ショック」を結局は克服して、さらなる成長をしてきた。
それはなぜなんだろう。僕らの欲には際限がないからだと思う。
昨日より貧しくなってもいいんだ、って人ばかりだと経済は成長しないだろうし、世界中が社会主義経済を唱え始めて、個々人がより良い暮らしを自分でつくりたいと努力しなくなったら、世界経済は成長しないと思う。
でも、欲深い僕らはもっといいモノやサービスが欲しいし、それをビジネスチャンスととらえて企業は毎年新製品出すし、その背景には日進月歩の技術進化があって、欲しくなるモノはきっとこれからも、どんどん出てくる。
君らの会社の社長さんだって、「今年の我が社の目標は現状維持です。頑張らなくていいです!」なんて言わないはずだ。企業は毎年売り上げや利益を増やしていこうとするし、僕らは去年よりも給料が上がって欲しいと頑張る。
こういうことの集まりが経済だから、やっぱり全体としては右肩上がりで、だから株式市場も右肩上がりなんだ。
日興アセットが10年以上前から使っているグラフがある。これ。
面グラフが世界のGDP、経済規模の総額で、線が世界株式指数という世界全部の株式市場を指数化したもの。これを重ねてみたわけだけど、もう明らかでしょう。
つまり、経済規模はずっと右肩上がりで増えているし、株価はそれとリンクして同じように動いてきた。
これ以上、シンプルな関係性はないと思う。
もちろん、僕の積立が苦境に陥ったスタート直後の2000年頃やリーマン・ショックの2008年頃は、面グラフ(経済規模)が落ち込んでいるのがわかる。そして、株価も落ち込んでいるよね。
でも、世界経済は苦境を克服して前進し、株価もそれに先行するようにして上昇していった。
この面グラフは今後の経済成長の予想値まで入ってて、今後も経済は右肩上がりだと予想されている。先進国はもちろん、中国を筆頭とした新興国たちがより成長すると予想されている。
当然、株価の線は直近までになっているけど、経済が成長していくと予想されるなら株価だって一緒に右肩上がりだと予想するのは、そう間違っていないと思う。
短期的には色んなニュースでアップダウンはあっても“ボーっと”放っておけばいい、って僕が思えてきたのには、こういう理解があったから。そしてもうひとつは、しつこいけど「下がっても嬉しい」という積立の仕組みへの理解。
でも一番大きかったのは、僕が本当に楽観主義者で、細かいようでいて面倒なことは嫌いな大雑把な性格だったからかもしれない。
積立の損益を毎日チェックしたり、下がった時に気に病んで何かアクションしようとしなかったのは、単に僕のズボラな性格のおかげかもしれない。
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