投資はマストじゃないけど、誰しも欲はあるからね

 一番最初に「ズルズルしちゃうくらいなら、銀行の積立預金でいいからすぐに本気の天引きを!」という話をしたけど、「やっぱりどうせやるなら投信でやるべきだろうね」という話を今日はしようと思う。

 それは決して僕が投信業界の人間だからではなく、僕自身が32歳から投信積立を20年以上やってきたという実体験からも、もっと長い客観的なデータから紐解いても、それが今後の君たち夫婦にとって賢明なアドバイスになると強く思うから。

 時間が長ければ長いほど、預金ではなく投信でリスクを取った積立をすべきだと思っている。

 親子で綺麗なことを言っても仕方ないのでハッキリ言うけど、これは実は “欲”の話。あるいは“夢”の話だ。

 第1回目で計算したように、手取りの30%とか35%の天引きをきちんと頑張りさえすれば、20年後には立派な金額のお金を手にしているわけだ。預金でやっていれば、計算通りの金額が確実に貯まる。

 じゃあ、この3,500万円とか4,000万円というお金が、もし2倍とか3倍とか4倍の金額になってたら最高だよね!!っていう、欲や夢の話が投信積立

 そう、欲を出して皮算用してみようという話だ。あくまでも毎月30%とか35%のお金を出し続ける努力の方がメインであることには変わりはない。それを「運用の力を借りてブーストしてみないか?」っていうことだ。主従を間違えちゃいけない。

実は運用って、しょせんは“運”の話

“運”が良ければ本当に2倍とか3倍にもなるだろうと思う。運なんて言うと「え~?」と思うかもしれないけど、実際そうなんだよ。

 これからの投資期間がはたしてどういう経済環境、投資環境になるのかという運に、完全に左右される。これはいくら勉強しても事前にはわからないし、どんなに過去好調だったファンドも、どんなにコストが安いファンドも、その運には逆らえない

 逆に、運に恵まれた投資期間に積立をやっていたら、どの資産、米国株とか、世界株とか、あるいはREIT(不動産投資信託)とかも、すごく大雑把に言えば、大体同じような方向で、大体同じように「最高な結果」に満足することになると思うし、運に恵まれなかった、大体全部つらいことになる。

 出鼻をくじくようで悪いけど、そういうことだ。商品選択とか知識とかよりも、運に大きく左右される。

 ただ、20年以上取り組める人なら、いい時と悪い時とを数回経験しながらも、最終的には喜べる結果を、高い確率で得ているだろうと思う

「最高の運」に恵まれるかどうかはわからないけれど、少なくとも「預金じゃなくて、投信でやっててよかった。あの時お父さんに相談してよかった」となるだろうという、確信があるからこそ、大事な娘と夫にこういう話をしている。

父の20年。見せておこう!

 考え方はもういいよね。次は具体的なのを見せましょう。僕の32歳からの20年です。

 これは僕が32歳、運用会社に初めての転職をしてからの僕のお金の歴史。入社直後にはじめて投信積立をスタートした、その後の推移だ。月5万円の積立がどういう過程を経て、今に至っているかを示してるリアルなグラフ。

 ちなみに月5万円でスタートしたのはホントなんだけど、後から金額を増やしています。全部正直に見せると、僕が今いくら持ってるかわかって変な期待されても嫌なので(笑)、ずっと5万円だったということで話をしていきます。

 さて、転職した先が日本株ファンドが強い運用会社だったので、何も考えずそのファンドで月5万円で始めたのが2000年の1月。グラフ上にファンドの代替として示した日経平均のグレーの線でわかるように、スタートのホントの直後から暴落したんだ。しかも、激しく。

 2000年1月末の約2万円の日経平均は、2003年の3月には8,000円を割ってしまった。

 青い三角形は積立元本の積み上がり。月5万円、年に60万円(5万円×12カ月)を22年続けてるので1,320万円のところまで直線的に積み上がっているのがわかるよね。

 そして赤い線が、その時々のそれまで積み立てた分の時価評価額の推移。もし、その時々で積立を全部売ったらいくらになってたのかを示している。

父の20年。最悪のスタートでした、、、

 さて、グラフの見方はわかったと思うので、ここを見てほしい。

 2000年1月にスタートしてから日本株は3年間暴落していくんだけど、僕は気にせず毎月5万円の積立を続けていた。

 もちろん赤い線の時価評価はずっとマイナス状態なんだけど、でも金額としての“実害”はまだそう大きくないから気にしなかった。

 月5万円、1年で60万円、3年で180万円だから、2割の評価損だったとしても36万円。気にせず続けていたんだ。正直なことを言えば、初の転職先で毎日忙しくて、気にする余裕がなかった。

 そしたら、2003年の春ごろに「コツン」とばかり日本株は底を付けて上がっていく。赤い線が青い三角を上回ってることでわかる通り、僕の積立は「含み益」の状態になっていった。

 日経平均は2005年、2006年と順調に回復して、15,000円とか16,000円になっていく。

「あぁよかった~」という感じだったと思う

 しかし、それも束の間、恐ろしいことに...。これはまた次回に。

<父から娘への黄金ルール、「フルバージョン」はこちら>