先週の日経平均株価は今年3月、6月につけた2万8,300円台の高値を勢いよく突破し、2万8,546円で終了。お盆休みで取引が低調になる今週15日(月)から19日(金)はさらなる高値を狙う勢いです。

先週:物価高ピークアウトで全面高!業績好調の日本株上昇が続く!?

 先週の株式市場は、米国の物価高にピークアウトの兆しが出たことで狂喜乱舞しました。

 8月10日(水)発表の米国の7月CPI(消費者物価指数)は前年同月比8.5%上昇と、6月の9.1%増から伸びが鈍化。

※CPIに関して、詳しくはこちら:1分でわかる!インフレと株価の関係

 ガソリン価格が前月比7.7%も低下したことが、天井知らずだった物価高に歯止めをかけました。

 さらなるビッグサプライズは、11日(木)に発表された7月PPI(卸売物価指数)が、エネルギー製品の価格低下で、前月比0.5%低下したこと。

 PPIは、企業間の製品の取引価格を示す物価の先行指数です。

 そのPPIが上昇ではなく、低下するのは2020年4月以来、約2年ぶり。

 これを受け、12日(金)の日経平均株価は727円も上昇。イケイケムードに包まれました。

 12日(金)夜の米国株はPPIに続き、7月の輸入物価が前月比マイナスになったことを好感。S&P500種指数が週間で3.2%高するなど、大幅上昇して終了しました。

 日本の個別株では、8月5日(金)に2023年3月期の業績上方修正と、株主配当の大幅増額を発表した石炭販売の三井松島ホールディングス(1518)が8日(月)、ストップ高。

 12日(金)に通期業績を上方修正した本田技研工業(7267)が前週比5.5%高するなど、輸送用機器セクターも大きく上昇しました。

 内需株の主力である銀行業や建設業セクターも決算を通過し、全体としては上昇しました。

 一方、ソフトバンクグループ(9984)は2022年4-6月期の最終赤字が3兆円を超え、9日(火)に株価が7%も急落。

 しかし、10日(水)には保有する中国アリババ・グループ(BABA)の株式売却で次の7-9月期には4.6兆円の利益を計上する見通しを発表。

 全体相場が全面高だったこともあり、週前半の下落幅をほぼ全て取り戻しました。

今週:FOMC議事録で利上げ懸念が再燃!?お盆相場で乱高下も!

 今週は15日(月)に、オンライン英会話のレアジョブ(6096)など東証プライム市場の成長株が決算発表し、4-6月期決算シーズンが終了します。

 成長株の動向がわかる東証マザーズ指数は6月下旬に年初来安値をつけて以降、戻り歩調が鮮明。

 米国CPI低下で世界的な金利上昇懸念が後退したことも、中・小型の成長株には朗報です。ここまで大きく売られてきた分、当面、底入れ上昇が続きそうです。

 米国では景気に関する経済指標の発表が相次ぎます。

 16日(火)に7月鉱工業生産、17日(水)に7月小売売上高。

 指標が大きく落ち込むと、景気後退懸念が台頭して、上がりすぎた株がいったん売られる調整局面を迎えるかもしれません。

 17日(水)深夜には、7月27日(水)に0.75%の利上げを決めた米FOMC(連邦公開市場委員会)の議事録が公開されます。

 9月以降も0.75%に達する強硬な利上げ継続の声が多数、議事録に記録されているようだと、「サマーラリー(夏の活況相場)」の勢いに陰りが出るかもしれません。

 10日(水)発表の7月CPIは伸びが鈍化したとはいえ、食品コストは前年同月比10%超の上昇と非常に高水準でした。

 また、変動の激しいエネルギーや食品を除くコアCPIに最も大きな影響を与える家賃など住居費は、前年同月比で5.7%も上昇。

 伸びは鈍化したとはいえ、米国の物価は今後も高止まりが続くでしょう。

 FOMC後に発表された7月の米国雇用統計が非常に好調だったこともあり、米FRB(連邦準備制度理事会)は、雇用や景気を失速させずに、さらなる強硬な利上げがやりやすい状況ともいえます。

※米国雇用統計に関して、詳しくはこちら:1分でわかる!雇用統計と株価の関係

 そんな背景もあり、17日(水)発表のFOMC議事録をきっかけに、秋以降のさらなる強硬な金融引き締め路線に対する警戒感が台頭する可能性もあります。

 19日(金)には、日本でも7月の全国CPIが発表されます。

 生鮮食料品を除く6月コアCPIは前年同月比2.2%の上昇でしたが、7月は2.4%の伸びが予想されています。

 庶民からすると、物価上昇は、悪かもしれません。

 しかし、企業サイドから見ると、これだけ原材料費が上昇しているのに、価格転嫁できないと、利益圧迫要因になります。

 そのため、2%超の水準で適度にCPIが上昇していることが、株価にはプラスでしょう。

 お盆で取引が低調なこともあり、海外のヘッジファンドが日経平均先物取引を使って日本株をどんどん買い上げることで株価が一時的に急騰したり、ちょっとした悪材料で急落したりしやすい時期です。

 株価の急な乱高下に惑わされないようにしましょう。