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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【日本株】米景気、急降下。軟着陸?ハードランディング?タカ派FRBは景気後退も辞さず

先週は、軟着陸の思惑で、米・日株ともに買い戻し

 先週の日経平均株価は1週間で1,126円(4.2%)上昇し、2万7,914円となりました。米景気軟着陸(ソフトランディング)の期待が高まり、米国株が急反発した流れから、日本株にも外国人と見られる買いが入り、大きく上昇しました。先週の、日米独主要株価指数の騰落率は以下の通りです。

先週の日米独主要株価指数の騰落率:2022年7月18~22日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 このコラムで毎週お伝えしている通り、世界の株式市場の最大の注目点は、急速に減速してきた米景気がソフトランディングするかハードランディングするか、に集中しています。先週は、ソフトランディングの可能性を感じ取った世界の投資家が米国株を急ぎ買い戻し、その流れで日本株も買い戻されました。

米国ナスダック・S&P500・NYダウの動き比較:2020年1月~2022年7月22日

出所:QUICKより作成、2019年末を100として指数化

 米6月の総合インフレ率(CPI・消費者物価指数前年比%)は9.1%となり、5月の8.6%より0.5%ポイント上昇しました。インフレに鎮静化の兆しがないことから、FRB(米連邦準備制度理事会)が7月26~27日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で大幅利上げを続けることがほぼ確実です。

 こんな状況下で、米景気軟着陸を見込むのは早計かもしれません。ただし、足元、原油や穀物の先物下落、米景気の急減速、米長期金利の低下を受けて、先行きインフレがピークアウトする期待が出てきていて、先週の世界の株式はそれに反応した形です。

 CPIは物価の遅行指数です。遅れていた小売価格への転嫁が進むことで、今、上昇が続いています。一方、物価の先行指標である、WTI原油先物はすでにピークアウトしている可能性があります。

WTI原油先物(期近):2020年1月~2022年7月22日

出所:QUICKより作成

 世界景気減速が鮮明になってきたことを受けて、以下の通り、欧米の長期金利は低下しつつあります。

米・英・独・豪・日の長期(10年)金利推移:2007年1月~2022年7月(22日)

出所:QUICKより作成