日本国債のイールドカーブは10年がへこんだ形
日銀が指値オペで価格下落(金利上昇)を抑え込んできたのは10年国債なので、指値オペのない7~9年の国債利回りが一時、10年国債の利回りを超えました。日銀がオペを7年国債にも拡大したので、7年金利は10年をまた下回りましたが、それでも日本の国債のイールドカーブ(年限ごとの利回り曲線)は以下の通り、10年のところだけへこんだ形となっています。
<日本国債のイールドカーブ:2022年4月28日、6月17日、7月5日の比較>
上のグラフを見るとわかる通り、世界に利上げが広がる前の4月28日のイールドカーブはほぼ右肩上がりの普通の形状でした。ところが、6月17日には、10年のところがへこんだ形となっています。ヘッジファンドは、長期金利を抑える日銀の政策は維持不可能と見て、日本国債ショートの勝負に出ています。
7月5日には、米長期金利の反落をうけて、日本も10年以下の金利は少しだけ低下しました。ただし、20~30年の超長期国債の利回りは引き続き上昇しています。
しばらく、日銀対ヘッジファンドの戦いから目が離せません。中央銀行は本来、リスク資産を購入して金融市場で戦う存在ではありません。伝統的な日本銀行は、短期国債しか購入しませんでした。ところが、黒田日銀は、巨額の長期国債や日本株ETFを保有して、市場と戦っています。
日本株の購入では有利に戦いを進めていますが、長期国債の戦いで苦戦する可能性があります。
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