「億り人」は損切り達人

 株のトレーディングなどで、1億円以上の金融資産をつくった人を「億り人」と呼びます。億り人の成功談には、「これこれを買ったら株価10倍に」のような話がたくさん出てきます。

 ただし、どんな投資の達人でも、選ぶ銘柄で100発100中はあり得ません。たくさんの銘柄をトレードしているうちに、買った後、そのまま持っていたら株価が半値になってしまう銘柄も多数あるはずです。

 そういう失敗銘柄を、暴落初期にすばやく損切りできないと、億り人にはなれません。「保有し続けていたら半値になっていた銘柄を、暴落初日に10%の下げで損切りした」というような「損切り成功談」が、億り人にはたくさんあるはずです。

 一般の個人投資家が、機関投資家やデイ・トレーダーに対して不利な点は、「日中、常に相場を見ていることができない」ことです。投資銘柄に想定外の悪材料が出て急落する時、大きな損失を抱える前にすばやく損切りすることは、長期のパフォーマンス向上にとても大切です。

 ところが、個人投資家の場合、家事・育児に忙しかったり、会社で仕事中だったりして株価を見ていないうちに大きく下がってしまうことがあります。

 そうならないように、値動きの荒いテーマ株に投資する場合は、逆指値・成行売り注文を入れておくべきと思います。

逆指値の成行売り注文を、しっかり使いこなす

 逆指値注文には、売り注文も、買い注文もあります。意味を説明すると、以下の通りです。

◆「逆指値売り注文」:指定した価格まで、株価が下がった時、出される売り注文
◆「逆指値買い注文」:指定した価格まで、株価が上がった時、出される買い注文

 株式投資の初心者の方は、逆指値の成行売り注文だけ覚えて、使っていただければOKです。逆指値買い注文は、信用取引で信用売りしたときなどに使うくらいで、通常の取引で使うことはほとんどありません。

 それでは、具体例で説明します。以下のように株価が150ドルでついている時、160ドルで指値売り注文を出すことができます。また、140ドルで逆指値の成行売り注文を入れることもできます。

<指値売りと逆指値売り>

 A社株が、160ドルまで上昇し、あなたが入れた指値売り注文にヒットすれば、160ドルで利益確定売りが成立します。一方、A社株が下落し、140ドルをつけた時は、損失確定の成行売り注文が出されます。

 その時点で、140ドルに指値の買い注文が残っていれば、140ドルでの損切りが成立します。140ドル買い指値がなくなっている場合は、それより下の、一番高い価格に入っている買い指値にヒットして、売ることになります。

 逆指値の成行売り注文を入れておけば、きっちり損切りできます。株価をずっと見ていると、いろいろ迷って損切りできなくなる人も、損切りできるのがメリットです。

 なお、以下の説明もご参照ください。
【米国株】逆指値注文の仕組み

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2022年5月17日:「指値」「成行」注文の賢い使い方。ETF・株式への投資デビューを考える方必見!