先週の日経平均株価は6月28日(火)まで2日で550円超、上昇しましたが、その後は3日続落。週間では457円安で終わりました。

 2022年の後半戦に突入する今週7月4日(月)から8日(金)は、踏みとどまれるか、底割れか、正念場になりそうです。

先週:スマホ需要落ち込みに危機感。物価高の鈍化は朗報!?

 先週の株式市場は日米ともに下落。

 高止まりするインフレに加え、半導体株の急落が響きました。

 6月30日(木)、米国のメモリーチップメーカー大手マイクロン・テクノロジー(MU)が発表した2022年6-8月期の業績悪化見通しが急落の引き金に。

 同社がスマートフォンやパソコン向け半導体需要の鈍化予想を出したことで、世界各国の半導体株が大きく下落しました。

 日本でも半導体製造装置メーカーの東京エレクトロン(8035)が年初来安値を更新するなど、輸送用機器と並び日本のコア産業といえる電気機器セクターが幅広く売られました。

 同じ30日(木)に発表された米国の5月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)は、価格変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数が前年同月比4.7%増と、4月の4.9%増から低下。前月比では0.3%上昇で横ばいとなりました。

※PCEデフレーターに関して、詳しくはこちら:1分でわかる!インフレと株価の関係

 これ自体は米国の40年ぶりの物価上昇がようやく減速し始めたともいえる明るい兆しです。しかし、米国市場は、個人消費支出の減速を景気後退の前兆ととらえ、続落しました。

 日本では7月1日(金)、日本銀行が全国企業に景況感を調査した短観(全国企業短期経済観測調査)を発表。

 大企業の製造業は原材料高が響いて悪化しましたが、非製造業は2期ぶりに改善。

 特に、新型コロナ明けのリオープン(経済再開)景気に沸く対個人サービス、宿泊・飲食サービスが大幅に回復したのは、明るい兆しといえるでしょう。

 ただ同日発表された東京都区部の6月CPI(消費者物価指数)は生鮮食品を除く総合指数が前年同月比2.1%上昇。

※CPIに関して、詳しくはこちら:1分でわかる!インフレと株価の関係

 これは消費税増税の影響があった時期を除くと1992年以来、30年ぶりの伸び率です。

 秋口以降、物価高で国内景気が失速しないか心配です。

今週:米雇用統計は良くても悪くてもダメ?米金利低下に期待!

 今週は7月4日(月)の米国市場が独立記念日で休場です。

 1日(金)夜の米国株が反発したため、その流れに乗った上昇に期待したいところ。

 先週、急落した半導体関連株が果たして下げ止まるかどうかが焦点になりそうです。

 また、2日(土)、3日(日)に大規模通信障害を起こしたKDDI(9433)の株価動向にも注目です。

 6日(水)深夜には、6月に0.75%の大幅利上げを決めた米国FOMC(連邦公開市場委員会)の議事録が公開されます。

 これまで以上に強硬な利上げに向けた議論が明らかになると、株式市場にとっては極めてネガティブです。

 8日(金)には6月の米国雇用統計も発表になります。

※雇用統計に関して、詳しくはこちら:1分でわかる!雇用統計と株価の関係

 非農業部門の雇用者数は、前月から24万人増が予想されています。

 雇用統計に関しては、あまりにいい数字だと、人手不足による賃金上昇がインフレ圧力につながる懸念から、利上げ継続の連想が働き、株価急落につながりかねません。

 かといって、雇用者数が予想よりも大幅に減少すると、それはそれで景気後退を示すシグナルになるため、明らかにネガティブ。

「景気や雇用情勢が良すぎても、悪すぎてもダメ」という袋小路に入ってしまったのは、やはり米国で40年ぶりの物価高が続いているためです。

 米国中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)はすでに3月に0.25%、5月に0.5%、6月に0.75%という急速な利上げを続けています。

 金融引き締め効果で、「そろそろ物価が上げ止まってもいいはずなのに、なかなか鈍化しない」という焦燥感が、不安定な相場が続く元凶といえます。

 2022年上半期の米国株は、多くの機関投資家が運用指標にするS&P500種指数が20.6%安と、1970年以来となる歴史的な下げを記録。

 NYダウ工業株30種平均は15.3%安と、実に60年ぶりの下落率でした。

 これだけ上半期で下げた年の後半は株価が上昇に転じることが多いため、その再来に期待したいところです。

 景気後退懸念で先週、米国の長期金利の指標となる10年物国債の利回りが2.8%台まで急落したことも朗報といえるでしょう。

 米国株が安定すれば、このところの円安で米国株に比べて底堅く推移してきた日本株も、それ以上の勢いで上昇するはずです。

 ただ、ロシアとウクライナの戦争が続く限り、資源・穀物高は続きます。

 原油価格や賃金上昇でインフレが深刻化し、株価が長期低迷した1970年代の再来には注意が必要です。

 景気後退と物価上昇が同時進行するスタグフレーションの足音に株式市場が動揺する展開は、今後もしばらく続きそうです。