世界景気悪化がなければ、米国株も日本株も割安

 今後の米国株・日本株の見通しを考える上で重要なのは、米国景気の先行きです。米景気が急速に悪化する気配があります。「ほど良い減速」ですむか、「景気後退に向かう」のか、当分、結論は出ないと思います。米国株は、この二つの見方のはざまで揺れ動くことになるでしょう。

 米景気が今、景気拡大「過熱期」に入っているのは明らかです。

景気・金利・株価の相関関係

出所:筆者作成

 ここから、景気が「ほど良く減速」して「景気拡大・中期」に戻っていくか、あるいは、「景気後退期」に進むかが判断の分かれ目です。

 私は、メイン・シナリオで、今年、米景気は減速するものの、景気後退には至らないと予想しています。米景気・世界景気の後退がなければ、米国株も日本株も、すでにPER(株価収益率)で割安と判断できるところまで売り込まれています。

 米国株全体をもっとも良くあらわすS&P500種指数で予想PERは約16.4倍まで、日本株全体を代表すると考える東証プライムで予想PERは約13.3倍まで低下しているからです。メイン・シナリオでは、米国株・日本株ともに今後割安さが見直されて反発していくと予想されます。

 ただし、景気判断は水物、私の判断が間違えている可能性もあります。米景気が、リーマンショックの時のようにこれから「あれよあれよという間に急激に悪化する」リスクも考えなければなりません。しばらく、米景気の動きをしっかり見ていく必要があります。もし、米景気がここから後退期に至るならば、米・日株ともに、ここからさらに一段安となるリスクもあります。

 結論は毎回述べていることと同じです。メイン・シナリオと、リスク・シナリオの両方を考慮しつつ、時間分散しながら米国株・日本株を買い増していくことが、長期の資産形成に寄与すると判断しています。

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