短期的な下値リスクはどれくらい?

 短期的に下値トライがあるとして、どのくらい下がるでしょうか?それについて考える前に、日経平均の過去10年弱の動きを見てみましょう。日経平均はこれまで、急落・急騰を繰り返しながら上昇してきたことがわかります。

日経平均推移:2012年末~2022年4月(26日)

出所:2012年末の値を100として指数化、QUICKより作成

 過去10年の間、日経平均は何度も急落しています。高値から安値まで20~30%くらいの下げが多いことがわかります。

【1】世界景気悪化を伴うと下落率は3割に達することも

 下落率が特に大きかったのは、2015~2016年の下落(▲28%)と、2020年のコロナショック(▲31%)です。2015年10月から2016年3月にかけて、景気後退ぎりぎりまで世界景気が悪化しました。2020年はコロナショックで、一時戦後最悪の景気落ち込みとなりました。このように世界的な景気悪化を伴う世界株安局面では、日経平均は3割くらい下げることがあります。

【2】世界景気の悪化を伴わないショック安は20%くらいで済むことが多い

【1】であげた2つの大きな下落局面を除けば、下落はおおむね20%くらいで済んでいます。世界景気の悪化を伴わないショック安は、20%くらい下げれば終了することが多いと言えます。

 さて、以上を参考に、これからさらに日経平均がどれだけ下がるか考えてみましょう。世界景気の悪化を伴うか否かで、判断が分かれます。2つのシナリオで考えてみました。

【A】2022年後半~2023年にかけて世界景気が後退期に入るケース

 今起こっているインフレ&ウクライナ・ショックが最終的に、世界景気の後退を招くと考えるならば、日経平均は高値から3割くらいまで下がると考えられます。日経平均の昨年高値は3万0,670円です。そこから3割下げると、日経平均の安値は2万1,469円となります。

【B】世界景気は減速しつつも拡大が続くシナリオ

 日経平均は3月に一時2万2万4,717円まで下がっています。その時点で昨年高値からの下落率は約19%です。世界的な景気悪化を伴わないショック安は2割くらいで終了すると仮定すると、すでに2割の下げは一度見ています。そこから、日経平均は反発して4月26日時点で2万6,700円です。
 日経平均は当分上値の重い展開が続きそうですが、大底はすでにつけている可能性があります。

 私は、上記【B】の可能性が高いと判断しています。ただし、【A】のリスクも頭に置いておく必要はあります。

 ただし、【A】でも【B】でもない、もっと悲観的なシナリオも実はあります。世界景気が単に悪化するだけでなく、世界景気の悪化と同時に、世界的な金融危機が起こるシナリオです。そうなると、日経平均の下落率は3割で済まなくなります。それが、実際に起こったのが、2008年のリーマンショックです。

 これからリーマンショックのように、世界的な景気後退と金融危機が同時に起こることはあるのでしょうか?今と、リーマン前夜を比べてみました。