今日の為替ウォーキング

今日の一言

一夜一時を怠らば、百歳の間三万六千時を失う - 吉田松陰

Ruby Tuesday

 通貨としての円の総合的な実力が約50年ぶりの水準まで低下している。日本銀行が公表したBIS(国際決済銀行)ベースの2月の実質実効為替レート(2010年=100)は66.54で、1972年以来約50年ぶりの水準まで低下した。

 実効為替レートが高いほど対外的な購買力があり、海外の製品を割安に購入できることを示す。反対に低いほど購買力が弱く、石油などの購入が割高になることを表す。

 実質実効為替レートは円相場が初めて1ドル=70円台に突入した95年の150台が最高で、当時に比べると半分以下に低下している。

 円は1973年に変動相場制に移行しているので、名目レートでいえば、現在のドル/円は固定相場制だった72年当時と同水準(1ドル=308円)程度まで低下していることになる。これからは気軽に海外旅行へ行くことはできない。1970年代前半のハワイは、「一生に一回は行きたい」遠い外国だった。そんな時代に逆戻りしてしまった。

 実質実効為替レートが算出された2月時点の円の名目レートの平均は115.25円。今は127円台で、10円以上も円安になっている。実質実効レートもさらに下がっているはずだ。

 2015年6月に125.85円まで円安が進んだときは、黒田日銀総裁は「実質実効為替レートでは、かなりの円安の水準になっている。ここからさらに円安に振れるということはなかなかありそうにない」と円安けん制発言を行った。現時点では、実効実質為替レートについて日銀から何も説明がない。

出所:BIS、日本銀行

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出所:楽天証券作成