今週:悪い円安進行と米国企業決算の良しあしに注目!

 今週発表の経済指標では、18日(月)午前に発表された中国の2022年1-3月期のGDP(国内総生産)や22日(金)発表の日本の3月全国消費者物価指数が注目されそうです。

 ロシア・ウクライナ戦争による資源・穀物価格の高騰や円安のせいで、日本でもじわじわ物価が上昇しています。15日(金)には鈴木俊一財務相が、価格転嫁や賃上げが行われない中で進む円安は「悪い円安といえる」と異例の言及をしました。

 円安になって輸入品の価格が高騰すると、消費が落ち込みます。すると、原材料高を価格に転嫁できない内需企業の業績が悪化。従業員の賃金が低下して、さらに消費不振に…という負のスパイラルに陥りかねません。

 もし日本銀行が悪い円安を食い止めるために、利上げなどに走ると、日本株にとって極めてネガティブです。

 米国では、物価上昇に合わせて賃金も上昇。旺盛な個人消費がさらに景気を良くして物価・賃金を押し上げる好サイクルになっています。

 しかし、企業の生産性が低く、賃金も上昇しづらい日本ではそうした好循環が望めません。

 米国では、先週始まった2022年1-3月期の決算発表が本格化します。

 米国企業の好調な決算結果はここ数年、株価上昇の“起爆剤”になってきました。

 19日(火)はネット関連企業の先陣を切るネットフリックス (NFLX)に注目です。20日(水)は、世界最大の日用品メーカーで原油高の悪影響が気になるプロクター・アンド・ギャンブル(PG)や資源・電力高が逆風になるアルミメーカーのアルコア(AA)

 また、創業者イーロン・マスク氏がツイッター(TWTR)の買収を表明した電気自動車のテスラ(TSLA)も四半期決算を発表します。

 22日(金)発表のクレジットカード会社、アメリカン・エキスプレス(AXP)など、ロシアからの撤退を表明している企業も多く、戦争が米国企業の業績にどんな影響を与えるかに市場の関心が集まりそうです。

 来週は26日(火)のマイクロソフト(MSFT)、27日(水)のメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック:FB)など巨大IT企業の決算発表も控えます。

 これからの2週間は、米国企業の決算発表から目が離せない時期になるでしょう。

 一方、ロシアがウクライナ東部で凄惨(せいさん)な猛攻撃をかけることも危惧されており、戦争激化による株価急落にも注意が必要です。