株式投資で失敗する人の典型的な思考とは?

 筆者は、今まで数多くの個人投資家の方と接したり、話をしてきました。そんな中で圧倒的に多いのが、筆者に「上がる株教えてください」「おススメ銘柄はなんですか?」と聞いてくるケースです。これは本当に多いです。

 また、同様のケースとして「これから日本株は上がりますか?」という質問も多いです。

 筆者は、このような質問をしてくる人が株式投資で成功しているのを今まで見たことがありません。それはなぜでしょうか?

 最大の理由は、「自分の頭で考えることを放棄している」からだと筆者は思っています。誰かが「上がる」と言ったからそれをうのみにして買う、もし首尾よく上昇すればよいが、下落してしまったら「あの人が上がると言ったのに…」と責任転嫁してしまうのです。これでは株式投資の実力はいつまでたっても向上しません。

 筆者に「上がる株教えて!」と聞いてくる人の大部分は、株式投資はしているけれどあまり真剣に取り組んでおらず、何となくやっている、という人たちです。あとは、株式投資に興味はあるが始めたばかりの方も多いです。

 確かに上場会社だけで4,000社近くありますから、「自分で選べないよ!!」という声も多々あるのは理解できます。それでも、自分の頭で考えることを放棄している限りは、なかなか良い成果にはつながらないのが事実です。自分で銘柄を選ぶための勉強をすることを強く勧めたいです。

「コロナ後に買って持ち続ければ資産50%増!」に心奪われてはいけない

 ちまたには株式投資や資産運用を推奨する専門家の声があふれています。例えば「コロナによる株価下落後に株を買って持ち続けていれば2年間で資産が50%増えました! だから株式投資しましょう!」というような宣伝もよく見かけます。

 しかし、こうした宣伝に心奪われる方も、株式投資で失敗しやすいといえます。

 確かにコロナによる株価下落後に株を買って持ち続けていれば2年間で株価が50%以上になったというのは事実であり、誇張は一切ありません。

 ここで注意しないといけないのは、「2年間で資産が50%増えた!」ということを必要以上に意識してしまうことなのです。

 特に初心者の方は、「株式投資をすれば2年間で資産が50%増えるのか。50%までは増えないまでも30%くらいは十分増えるだろう」と意識してしまうでしょう。

 ところが、株価はいつまでも右肩上がりで上昇するわけではありません。2年間で資産が50%増えた後の2年間は、逆に資産が50%減ってしまうことだってあり得るのです。

 このとき、頭の中では「過去の2年間で50%上昇したのだから今後も同じようになるはず」と思ってしまうので、株価下落に対する対処がうまくできず、結局は大きな損失を被ってしまいます。

 ですから、このような思考に陥るのではなく、まずは「2年間に資産が50%増えることもあるし、逆に50%減ることもあるのだ」という事実を知りましょう。

 そして、株価が大きく下がることも想定した上での戦術を立てる、例えば損切りのルールを定めて実行し、損失が膨らまないようにすることが重要です。

「大きく下がったら買えばよいですよね!」も危ない

 これまたよく個人投資家の方から聞くセリフとして「大きく下がったら買います」というものがあります。実はこれも危ない思考なのです。

 確かに2年前のいわゆるコロナ・ショックでは短期間に急落しましたが、その後株価は急速に戻し、「大きく下がったところで買う」ことの有効性が感じられたのは事実です。

 でも、それと同じことが今後も同様に起きるかどうかは分かりません。コロナ・ショックでは確かに株価は戻りましたが、バブル崩壊後のように長期間株価が下がり続ける可能性だってあります。

 また、「大きく下がったら買い」というのも基準があいまいです。実際、コロナ・ショックの時は株価が下落している途中に「大きく下がったから買いだ!」と買い向かった個人投資家が大勢いましたが、さらなる下落でパニックになり投げ売りしてしまったり、多額の含み損を抱えてしまったケースも多々ありました。

 大きく下がったら買い、というのは間違った考え方ではないとは思いますが、買ったあとさらに大きく株価が下がってしまう可能性があることを理解し、損切りのルールを設定して実行することにより、想定外の大きな損失を被らないようにしましょう。

「良い会社を長期間保有し続けるのが成功の秘訣」は正しいか?

 株式投資で成功する秘訣(ひけつ)は、良い会社を見つけて長期間保有をし続けること。このような考え方はプロの世界で浸透していますが、個人投資家の中にもこのような考えを持つ人が増えています。

 この考え方は非常に素晴らしいものなのですが、実は、その一方で大きな失敗につながりかねないという側面もあります。

 確かに長期間の株価の推移をみてみると、誰もが優良と認める会社の株価は大きく上昇していることが多いです。この点を踏まえる限り、良い会社を見つけて長期間保有をすることは有効です。

 しかし、その逆に個人投資家が「良い会社」と思って長期間保有したにもかかわらず、実際は良い会社ではなかった、もしくは良い会社の時期もあったがその後廃れてしまった、といった理由で株価が逆に大きく下落してしまうケースがとても多いのです。

 どうすれば失敗を避けられるのでしょうか? どんなに自分自身が「良い会社」と思ったとしても、株価が下がって下降トレンドになったら売却・損切りするというルールを決めて実行することです。

 いずれのケースにおいても、株価が意に反して下がったときの対応が正しくできていないために失敗につながってしまうことが分かります。

 株価が下がったときにどう対応するか、具体的には損切りのルールを決めて守ることが自分の資産を大きく減らさないためには重要なのです。

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