マーケットの強弱材料が拮抗

 足下、強弱材料が拮抗しています。時間が経過すると、強材料か弱材料のどちらかに傾き、日経平均は上または下に大きく動くと考えられます。強弱材料がどう推移するか見極めるまで、日経平均は乱高下しつつも、上また下には放れにくい状況が続きそうです。

強材料

【1】米国景気・企業業績が好調

 米景気は好調。ウクライナ危機による原油高・穀物市況高は、米景気には追い風。雇用回復進み、3月にはほぼ完全雇用に戻る。

【2】ウクライナ停戦実現への期待

 ロシアが経済的・政治的・軍事的に苦境におちいり、停戦を求めざるを得なくなるとの期待が、一部にある。

【3】日本の内需回復期待

 内閣府が8日に発表した3月の景気ウォッチャー調査(街角景気)は、現状判断指数が10.1ポイント上昇の47.8だった。まん延防止等重点措置の解除で、内需回復期待が高まっている。

【4】日本株はPERから割安

 東証プライム上場銘柄の平均予想PER(株価収益率)は約14倍まで低下。予想配当利回りは約2.4%まで上昇。日本株は、株価指標から見て、割安と判断される。

弱材料

【1】米FRBが急激な引き締めを実施する構え

 これは前述のとおりです。

【2】ウクライナの停戦実現は遠い可能性も

 ロシアへの経済制裁が実効性をともなっていないとの見方もあります。欧州がエネルギーのロシア依存が高く、エネルギー禁輸ができないからです。原油やガス価格の高騰もあり、ロシア経済に充分なダメージが及んでいないとの見方もあります。

 停戦が実現するとしても、領土問題は棚上げになる可能性が高いと考えられます。領土問題を棚上げして停戦する前に、ロシアは東ウクライナでの実効支配地域拡大を狙っている模様です。東ウクライナでの戦闘が長期化する懸念もあります。

 そうなると、対露制裁は一段と強化され、ロシアへのダメージが及ぶとともに、欧州・日本おおび世界経済が受けるマイナス影響も大きくなる懸念があります。

【3】日本の経常収支赤字転落

 円安と原油高によって、日本の経常収支が赤字に転落しました。悪い円安が進んでいるとの見方もあります。

日本株「買い場」の見方継続

 結論は毎回述べていることと同じです。日本株は割安で長期投資で良い買い場となっていると思います。ただし、短期的にはさらなる下値の可能性もあります。時間分散しながら割安な日本株を買っていくことが、長期的な資産形成に寄与すると判断しています。

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