米国の10年・2年金利が一時逆転
先週、米10年金利と2年金利が一時、逆転しました。2年金利が10年金利を上回る「長短逆転」は、先行き米国景気が悪化する前兆と見られることがあります。
ただし、過去の経験則では、2年金利が10年金利を上回ってからすぐに米景気が悪化するというわけではありません。1年から2年後に悪化することがあるというだけです。つまり、これからまだ1年以上、好景気が続くこともあり得ます。
米10年・2年・3カ月金利の推移:2021年1月4日~2022年4月8日
米3カ月金利はまだ0.68%で、10年金利のスプレッドは2%開いています。長短金利(10年-3ヶ月)のスプレッドは充分に開いており、これを見ると、まだ長短逆転の「米景気悪化シグナルが出た」と判断することはできません。
ただし、今後、0.5%幅での急速な利上げが進むと、1年後には、長短金利のスプレッドが大幅に縮小している可能性があります。
前回、米国で長短金利が逆転したのは、2019年です。2018年まで米景気は好調で、FRB(米連邦準備制度理事会)は2018年に4回の利上げを実施しました。ただし、これは後から振り替えると、過剰な引き締めでした。
2018年末には、世界的に製造業の景況が悪化。日本は2018年10月から、景気後退期に入りました。2019年に入って、世界的に景況が軟化する中で、長短金利の逆転が起こりました。
米10年・2年・3ヶ月金利の推移:2018年1月2日~2019年8月16日
10年金利と2年金利の逆転が、2022年と2019年に見られたわけですが、起こった背景は異なります。2019年の逆転は、世界的に景況が悪化する直前まで、FRBが利上げを続けたことにより、起こったものです。
これに対して、先週起こった逆転は、米景気が好調でインフレが高止まる中、FRBの利上げが遅れる中で起こったものです。