米国市場の業績見通しは一段と拡大している
上述した日経平均予想を換言すると、日本株が上昇するには「米国株の堅調とドル/円の堅調の両方が肝要」と言えます。
図表4は、米国市場に上場されている大企業500社の株価動向を時価総額で加重平均したS&P500種指数をベースとする予想EPS(12カ月先予想EPS(1株当たり利益)/市場予想平均)の推移を示したものです。同予想EPSは4月入りして233.82と一段と増加し、過去1年累計実績EPSに対する伸び率(前年同期比増益率)で+20.2%が見込まれています。昨年同時期の予想EPSに対しては29.3%増加しています。
S&P500指数の構成銘柄では、時価総額比率の大きい大手IT企業(GAFAM:グーグル、アマゾン、メタ、アップル、マイクロソフト)を中心に、エネルギー、素材、ヘルスケア、一般消費財の業績拡大が見込まれています。
ウクライナ情勢、ロシア金融危機の影響、FRBによる金融引き締め、中国の景気鈍化懸念などリスク要因は多々ありますが、株式市場にとり最も重要とされる「業績拡大トレンド」(予想EPSの成長)は続くと見込まれています。
3月FOMCで利上げサイクルがスタートし、債券市場では10年国債利回りも2年国債利回りも2.5%程度まで上昇し「逆イールド」(短期債利回り>長期債利回り)が起きていることも警戒されています。
ただ、かつての経験則(例:2000年初のITバブル崩壊前夜や2007年のリーマンショック前夜)における「景気後退を予兆した逆イールド」は債券利回り(長短金利)が5~6%台でみられた現象でした。
現在の債券利回りはいまだ2%台です。また、実質長期金利(10年国債利回り-期待インフレ率)はいまだマイナス圏で推移しています。底堅い米国経済を背景とする「業績相場」で米国株の堅調は年内も持続すると見込んでいます。
<図表4:S&P500種指数の予想EPSは拡大基調にある>
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