もう一つの円安メリット:円建ての米国株リターンが向上

 こうした円安基調にはもうひとつのメリットがあります。それは、米国を中心とする外貨建て資産投資からのリターンが円建て(円換算)で押し上げられるからです。米国市場では、年初から株価下落を余儀なくされましたが、円安(ドル高)の効果で下げ幅が限定的となりました。

 つまり、為替市場で円安(外貨高)が進むと、外国株式投資の円建てリターンは向上することになります。

 もちろん、逆に為替が円高(外貨安)となれば、為替差損が円建てリターンを押し下げることには注意が必要です。一般的に、外国株式に投資する場合は(コストをかけて為替ヘッジをしない限り)、為替変動リスクを避けることはできません。

 また、為替は円高にも円安にも変化する可能性があり、その行方を正確に予測することは困難です。とはいえ、最近の為替市場におけるドル/円の傾向は、「円安メリット」として注目したいところです。

 図表3は、日経平均、NYダウ平均(ドル)、円建てNYダウ平均(円換算したNYダウ平均)の動きを1年前から比較したものです。

 円建てNYダウ平均は29日に約433万円と連日で過去最高水準を更新しました。円建てNYダウ平均のリターンが、日経平均より優勢で、米国株式(ドル)のリターンに「為替差益」が上乗せされていることがわかります。株式市場と為替リスクの分散も意識し、国際分散投資を実践していきたいと考えています。

<図表3:円建てNYダウ平均は過去最高値を更新した>

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年4月初~2022年3月30日)

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