川上は良いが、川中・川下は要注意
予想以上に資源高が長期化しています。投機筋の買いで急騰した原油先物の上昇はそろそろ一服する可能性がありますが、それでもエネルギーの供給不安がすぐに解消するわけではありません。資源高・インフレが世界経済・株価に大きく影響する環境が続くと考えられます。
そうした中で、日本株の投資銘柄を選別する際、気を付けることを述べます。資源関連株では、川上(鉱業・商社)は良いが、川中(石油化学・石油精製)、川下(消費財)は注意が必要ということです。
資源権益を保有するINPEX(1605)や、三菱商事(8058)・三井物産(8031)などの川上産業は、資源高のメリットを直接受けるので、好調が続くと予想されます。ところが、川中や川下に位置する企業は要注意です。資源(原料)高を十分に価格転嫁できないリスクがあるからです。
特に注意を要するのは、石油化学産業や石油精製業です。資源高の初期は、利益が急に拡大します。安値在庫(原料)を保有したまま、製品価格(石油製品や化学市況)が急上昇するので、在庫評価益(キャリーオーバーともいう)が拡大し、大幅増益となります。
ところが、原油価格が高値で横ばいとなると、減益になります。安値在庫がなくなるため、在庫評価益が出なくなります。それが減益要因となります。もし原油が高値から下がってくると、今度は大幅減益になる可能性があります。高値の原料在庫をかかえたまま、製品市況が下がるときには、在庫評価損が発生します。
以上により、今期大幅増益でも、化学株や鉄鋼株など、安値在庫が利益を押し上げる在庫評価益が出ている企業は、要注意です。来期は、原料高が直接影響することで、減益のリスクがあるからです。
川下(消費財)も、原料高が減益要因となります。原料高をそのまま価格転嫁できないことが多いからです。ただし、すべての銘柄が原料高で減益となるわけではありません。値上げによって原料高を価格転嫁できる会社は増益が期待されます。これから始まる可能性がある国内の消費回復で恩恵を受ける川下(消費財)メーカーは、買っていって良いと思います。
まとめると、投資戦略として、資源高のメリットを直接受ける川上産業(INPEX・三菱商事・三井物産など)と、原料高を価格転嫁し、消費回復の恩恵を受ける川下産業の投資妙味が高まっていると思います。川下産業の具体的な銘柄については、別の機会でレポートします。
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