コムシスHD(1721・東証1部)

どんな銘柄?

 通信工事の最大手企業です。2018年10月に、SYSKEN、NDS、北陸電話工事と経営統合して現体制になっています。売上高の5割強は通信キャリア向けで、うち大半がNTTグループ向けです。ノンキャリア以外においては、社会システム関連の比率が高くなっています。 

 ほかに、ITソリューション事業なども手掛けています。配当と自社株買いを合わせ、総還元性向70%を株主還元の目安としています。

▼業績見通し

 2022年3月期第3四半期累計経常利益は289億円で前年同期比21.1%増益となっています。NTTモバイル工事向けが伸び悩んでいる一方、ソフトバンクや楽天向けなど非NTT工事が好調で、全体をけん引する形になっています。グループ別セグメント利益では、8グループ全てが増益となっている状況です。

 第3四半期決算時には、通期経常利益435億円、前期比1.3%増を据え置いています。受注高は減少傾向にありますが、増益ペースから見た進捗(しんちょく)率は高く、下振れ懸念は乏しいでしょう。年間配当金計画は前期比10円増の95円としています。

▼ここがポイント

 近年では、半期ごとに前年同期比増配を行っているほか、年間80億円程度の自社株買いを継続的に実施しています。3月末期限の自社株買い終了後も、速やかに新たな自社株買い実施発表が期待でき、需給面での下支え材料となってきそうです。

 短期的にはNTTモバイル向けの受注底打ち、回復が株価の上昇要因となりそうです。中長期的には、再生エネルギー関連工事の受注拡大などが好望視できそうです。

沖縄セルラー電話(9436・JASDAQ)

どんな銘柄?

 KDDI(9433)を親会社とする通信会社です。沖縄県では5割と圧倒的なシェアを占めています。「au」「UQ」のブランドで展開するモバイル事業、「auひかりちゅら」、「ひかりゆいまーる」が中心のFTTH事業、2019年11月からサービスを開始したauでんきを中心とするライフデザイン事業を手掛けています。

 東シナ海ルートの「沖縄~九州海底ケーブル」の運用を2020年に開始しています。2021年11月には都市型データセンターを併設した賃貸オフィスビル「沖縄セルラーフォレストビル」が竣工しました。

▼業績見通し

 2022年3月期第3四半期累計経常利益は137億円で前年同期比11.9%増益となりました。つれて、通期予想は従来の143億円から152億円、前期比4.4%増益に上方修正しています。

 県下において新型コロナウイルス感染が拡大する場面もありましたが、auでんきをはじめとする各サービスの契約件数が想定以上に増加する形になるようです。年間配当金は前期比2円増配となる164円を計画しています。

▼ここがポイント

 配当性向40%を配当政策に掲げていることで、安定的な収益成長がそのまま配当水準の上昇につながっていきます。2022年3月期は21期連続での増配となりますが、今後も増配傾向は継続していくものとみられます。

 2021年3月期には上限20億円となる初の自社株買いを実施しており、今後も折に触れてこうした株主還元策が期待できるでしょう。2022年1-3月期に予定している販促強化の効果が、どのような形で新規契約獲得につながっていくかが目先の注目点となりそうです。