商船三井(9104・東証1部)

▼どんな銘柄?

 海運業界大手の一角です。2021年3月末現在、グループ運航船舶規模は721隻で5,300万重量トンとなっています。ドライバルク船(ばら積み船)では世界最大規模の船隊を擁するなどの強みを持つほか、自動車船は国内で初めて就航させ、LNG船でも世界トップクラスのシェアとなっています。

 2017年7月に、日本郵船(9101)川崎汽船(9107)と定期コンテナ船事業を統合しています。また、子会社のダイビルや宇徳は完全子会社化する予定です。国内で初めて、メタノールを燃料とする内航タンカー開発に取り組むと発表しています。

▼業績見通し

 2022年3月期第3四半期累計経常利益は4,877億円で前年同期比6.7倍と急拡大しています。第3四半期決算発表と同時に、通期予想は従来の4,800億円(期初予想は1,000億円)から6,500億円、前期比4.9倍に上方修正しました。今期に入ってから4度目の上方修正となります。

 コンテナ船における想定以上の荷動きと運賃高騰などを背景にした、持分法適用会社ONE社の収益拡大が業績上振れの主因となっています。また、年間配当金計画も期初計画の150円から現在は1,050円にまで引き上げられています。

▼ここがポイント

 現在の配当利回り水準は、全上場企業の中でもトップクラスの水準となっています。コンテナ運賃は足元でも上昇基調を強める状況になっており、2023年3月期も当初想定されていたような大幅減益となる可能性は後退しています。

 2022年3月期の配当性向20%は、2023年3月期には引き上げられる公算が大きいと考えられ、仮に経常減益となるにしても、年間配当金は一段の増配が想定されます。当面は大きな配当利回りの低下は考えづらく、株価の水準訂正余地は依然として大きいと判断できます。

 なお、3月末に1:3の株式分割を実施することも、高株価であるだけに、流動性の一段の向上という意味でポジティブに作用しそうです。

兼松エレクトロニクス(8096・東証1部)

どんな銘柄?

 兼松(8020)を親会社とするITベンダー企業になります。情報システムの設計・構築・販売から、導入後の保守・運用サポートまでの各種サービスをワンストップで提供しています。特定のメーカーに偏らないマルチベンダー対応に特徴があります。

 顧客数は3,000社以上、顧客との直接取引の割合は90%以上を占めています。サービス業や製造業を中心に、流通、金融など幅広い産業分野で展開しています。配当性向は50%を掲げています。

▼業績見通し

 2022年3月期第3四半期累計経常利益は75.8億円で前年同期比19.4%増益となっています。仮想デスクトップ環境の構築やネットワークセキュリティソリューションなどが堅調推移で、システム事業が2ケタの売上成長となっています。

 また、サービス・サポート事業もシステム運用やクラウドサービス関連が伸長して順調に推移しています。通期計画は123億円で前期比11.4%増益の予想、上半期決算時に上方修正されています。年間配当金は前期比10円増配となる145円を計画しています。

▼ここがポイント

 2022年3月期は12期連続での経常増益となり、11期連続で過去最高益更新見通しとなっています。テレワークの浸透、サイバー攻撃への危機意識の高まりに伴うセキュリティニーズの強まりなど、引き続き事業環境が支援になることで、今後も業績安定成長に対する安心感は揺るがないとみられます。

 こうしたなかで配当性向は50%以上としていることで、中長期的なインカムゲインを主目的とした投資家にとっては最適な投資対象であると考えられます。

芙蓉総合リース(8424・東証1部)

どんな銘柄?

 リース業界大手の一角でみずほ系です。12月末の営業資産残高は2兆5,917億円で、うちリース資産残高は1兆7,392億円となっています。物件別リース契約実行高では、情報・事務用機器、輸送用機器、産業工作機械などのセグメントが上位となっています。

 不動産や航空機などが戦略分野で、BPOサービスなどは新領域となります。2022年1月には、小型電動航空機の開発を進める米Bye Aerospace社との資本提携を行っています。

▼業績見通し

 2022年3月期第3四半期累計経常利益は389億円で前年同期比15.1%増益となりました。戦略分野である不動産リースが伸長したほか、ファイナンス事業でもエクイティ投資による収益などが増加しています。前年同期に計上した一過性のコスト剥落なども増益に寄与しました。

 2022年3月期通期では、経常利益は500億円で前期比4.2%増益を計画しています。ここまでの順調な進捗状況から超過達成となる公算です。年間配当金は前期比20円増配となる260円を計画しています。

▼ここがポイント

 みずほFGに近いリース会社は、同社のほか、東京センチュリー(8439)みずほリース(8425)などが存在しています。2021年春には三菱UFJリースと日立キャピタルが合併(三菱HCキャピタル(8593))しており、今後もリース業界には、再編期待などが折に触れて高まる可能性はあるでしょう。

 ほか、ウクライナ情勢への懸念は残りますが、新型コロナウイルス感染者数の減少に伴い、航空機リース事業の先行き期待が回復することも支援となります。次回決算での新中期計画にも期待です。