今日の為替ウォーキング

今日の一言

 金メダルを取るためのレースは意味がない。自分自身との戦い、誰もが心の中に抱えている目に見えない戦いこそが最も大切なものなのだ

Carry On Wayward Son

 2020年3月、FRB(米連邦準備制度理事会)は新型コロナに見舞われた米経済を支援するため緊急利下げに踏み切った。それからちょうど2年後の今週、FOMC(米連邦公開市場委員会)は、利上げに踏み切る。

 利上げはほぼ確実として、0.5%の大幅利上げから始めるのか、それとも細かく連続するのか。バランスシートはどこまで縮小するのかなど、FOMC直前でもわからない点が多い。FRBのまとめ役だったクラリダ副議長が1月に辞任した後、マーケットとのコミュニケーションがうまくいっていないことも理由だ。

 セントルイス連銀のブラード総裁は7月1日までにFF金利を1.0%まで引き上げるべきと主張している。つまり、7月までにFOMCは 3月、5月、6月のたった3回で政策金利を1.00%引き上げるということは、0.5%の「大幅」利上げを1回以上想定しているということだ。最初に0.5%して、その後0.25%ずつ刻んでいくのか。それともオーソドックスに0.25%から入り、インフレの状況を見て場合によっては0.5%を投入するのか。ブラード総裁は今年の投票権を持っている。しかしパウエルFRB議長は後者の考えだ。

 FRBのインフレ懸念が強ければ、利上げサイクルを通常の0.25%ではなく0.5%から始める可能性もある。一方でFRBは実質的にはまだ「量的緩和」政策を続けているのだから、利上げよりもまずはバランスシート縮小に着手するべきだとの意見もある。 

 新型コロナが猛威を振るい米経済再開の先行きがまったく不透明だった時に、FOMCは、政策のフォワードガイダンスに関して重要な変更を行った。従来の「今後数カ月」といったような、期間を定めた定量的なガイダンスから、最大雇用と物価安定の目標達成に向け「一段の著しい進展があるまで」という、数字では表わせない定性的なガイダンスへと修正したのだ。

 パウエル議長は、物価安定(インフレ)に関しては「目標に達した」ことを認めている。では完全雇用はどうか?この定義を巡ってもFRB内部で見解の相違があるようだ。パウエル議長は、最大雇用に向けた十分な「進展」があれば十分との意見だが、ブレイナード理事は目標の「実現」を望んでいる。

今週の 重要経済指標 

出所:楽天証券作成