原油急騰がもたらすゲームチェンジ

 原油急騰が世界経済の重大な下押しリスクとなってきました。このまま上昇し続けると、第3次オイルショックとなり世界景気が悪化するリスクが高まります。原油高への警戒から世界株安が進みました。当面、世界の株式市場は、ニューヨークのWTI原油先物(期近)の動きに一喜一憂する動きが続くでしょう。

 原油先物が上昇した日は、悲観が広がって株が世界的に売られ、原油先物が大きく下落すれば、安心感が広がって、世界的に株が買い戻されやすくなります。このように、株式市場の目先の動きだけみれば、原油上昇=マイナス材料、原油下落=プラス材料としての反応が続きそうです。

WTI原油先物(期近)の月次推移:2000年1月~2022年3月(8日)

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 ただし、原油上昇にはマイナス面ばかりではなく、プラス面もあります。今日は、原油急騰がもたらす世界経済のゲームチェンジが、日本企業の競争力にもたらすプラス効果について、私の考えていることを書きます。

 日本企業は、1970年代のオイルショック以降、省エネ・環境技術で常に世界トップを走ってきましたが、近年、原油が下がり続けている間、日本企業が得意とする省エネ環境技術の価値は低く評価されていました。

 しかし、今回エネルギー価格が急騰したことによって、ゲームチェンジが起こると思います。日本企業の省エネ環境技術が再び脚光を浴びそうです。