今週:ロシア・欧州関連株は続落か。停戦協議に注目

 週明けの日経平均は前週末比764円安の2万5,221円と昨年来安値を更新しました。欧米がロシア産原油の禁輸措置を検討し始めたことで、原油価格が急騰。資源高による景気悪化リスクが警戒され、株安となりました。

 週末の5日(土)には、ロシアが民間人脱出のための限定的停戦協定を破ってウクライナ南部の都市などを攻撃。

 ウクライナのゼレンスキー大統領はNATO(北大西洋条約機構)へ領土の上空を守ってほしいと訴えましたが、NATOはこれを拒否。NATOが介入すれば欧州全体を巻き込んだ全面戦争につながりかねないとの判断です。

 今週初めの注目は、週末に予定されるロシア・ウクライナ第3回停戦協議の結果でしょう。ゼレンスキー大統領が、首都キーウ(キエフ)が焼け野原になる前に、ロシアの要求をどの程度、受け入れるか。

 プーチン大統領としては、ウクライナ全土を占領するのは経済・軍事コストがかかり過ぎることから、何を落としどころにするか。

 両者の覚悟に注目が集まります。

 10日(木)には、ECB(欧州中央銀行)の政策理事会が開催されます。ラガルド総裁がロシア金融封鎖で資金不安に直面する欧州の銀行に何らかの援助措置を表明するようなことがあれば、株価にとって朗報です。

 今週最も注目される経済指標は、10日に発表される米国CPI(消費者物価指数)です。

 今回発表される2月の予想値は前年同月比7.9%、前月比0.8%の伸び。40年ぶりの物価上昇となった1月をさらに上回りそうです。原油価格が一段と上昇し、スーパーインフレ時代に突入すれば、株価を押し下げる要因となります。

 日本株では、ロシア・欧州関連株の急落が続きそうです。日産自動車(7201)などの自動車業界や、JT(2914)などはロシアやウクライナに生産拠点があります。エアコン大手のダイキン工業(6367)、電動工具のマキタ(6586)などは欧州の売上比率が高い銘柄です。

 ただし、株式市場全体が総悲観というわけではありません。

 原油やパラジウム、コバルトなどレアメタルの高騰が続く中、世界に石油の権益を持つINPEX(1605)などの資源株や東邦チタニウム(5727)など非鉄金属株、さらに日本郵船(9101)など海運株は高値をつけています。

 また、意外にも東証マザーズ指数に明るい兆しが出ています。

 同指数は2月24日のロシア侵攻開始日につけた最安値652ポイントから反転上昇が続き、さすがに先週後半は下げたものの、日経平均株価よりも底堅く推移しています。

 戦争不安による長期金利の低下、さらに緊迫する国際情勢と無縁な内需系IT企業が多いこともあり、本格的な反転上昇相場入りの兆候も出てきました。

 いずれにせよ、先週の原発攻撃を超えるような戦闘のエスカレートがなく、株式市場が多少なりとも落ち着いてほしいもの。

 これまで下げ過ぎた分、どんな形でも停戦決定となれば、株価が急騰してもおかしくないでしょう。