ウクライナショック、米国株への影響

 ウクライナショックの米国株に与えるマイナス効果は相対的に小さくなっています。米国経済は、IT産業の比率が高く、製造業の比率が低く、世界経済の影響を受けにくいことから、ウクライナショックに対して相対的にディフェンシブと見られています。

 米インフレ高進を受けてFRB(連邦準備制度理事会)が金融引き締めを急いでいる影響から、ナスダック中心に下げが大きくなっているところで、ウクライナショックが起こった影響は複雑です。ロシア産エネルギーの供給が減る懸念で、原油先物がさらに上昇していることは、インフレ鎮静が遅れるという意味でネガティブです。

WTI原油先物(期近)月次推移:2000年1月~2022年3月(4日)

出所:QUICKより作成

 一方、欧州景気・世界景気が軟化する不安から、米長期金利が低下したこと、FRBが利上げにやや慎重になるとの見方が出てきたことはポジティブです。3月15~16日のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げ0.5%が実施されるとのコンセンサスがありましたが、利上げ幅は0.25%となると市場予想が変わりました。米ナスダック総合指数は、米引き締めがやや緩和する期待から反発しています。

米長期(10年)金利推移:2020年1月2日~2022年3月4日

出所:QUICKより作成