今日の為替ウォーキング

今日の一言

いつも最善を尽くしなさい、どんな逆境にあったとしても。- アーノルド・パーマー(元ゴルフ選手)

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 米労働省労働統計局が今夜発表する2月の雇用統計は、市場予想では非農業部門雇用者数(NFP)+40.0万人、失業率3.9%。また平均労働賃金は前月比+0.5%、前年比+5.8%の予想。
なお、今月の詳しい解説は、2月雇用統計詳細レポート「移民の国アメリカに移民が来なくなった?米国の労働者不足問題は長期化へ」をご覧ください。

 ADP雇用データは、前月分の▲30.1万人が+50.9万人に大幅修正された。雇用統計の予測は、最近とくに難しくなっている。理由のひとつは、コロナ後の消費者と企業の行動パターンが予測しにくくなっていること。そして、政府が雇用主から受け取る雇用データの回答が激減していることがある。

 米国の雇用市場は、就業者数が増えないなかで失業率だけが下がっている。今回の雇用統計でも、非農業部門雇用者数が前月より少ない+40.0万人にもかかわらず、失業率は4.0%から3.9%に改善するという予想になっている。同じ雇用統計で、なぜデータが矛盾しているのか?

理由は単純で、二つが「別々の調査」なのだ。非農業部門雇用者数は「事業所調査(establishment survey)」のデータで、仕事に就いている人を集計している。一方、失業率は「家計調査(household survey)」から算出したもので、家計調査では、生産年齢人口(潜在的に仕事を持っている人口)に対する仕事に就いていない人の割合を数えている。

 事業所調査は企業にアンケートを送り、主にオンラインで回答を受け取る。家計調査は電話や対面などによる調査が中心だ。このように、調査におけるサンプルの違いや計測方法が異なるために不一致が生じるのである。働き方の多様化やアンケート回答率の低下によって、雇用統計の予測が困難になっているだけではなく、精度も低下しているといわれています。

 スタートアップ企業(まだ世に出ていない新たなビジネスモデルを開発する企業)で働く若者たちに「仕事をしていますか?」と聞いたなら、もちろん「はい」と答えるだろう。しかし、雇用統計はそのような誕生間もない小さな企業の就業状況まで網羅していない。雇用統計に限らず、聞き取りベースの経済指標は信頼性が低いとして、最近では、海外の投資家はビッグデータ解析を使うようになっている。

 失業率と非農業部門雇用者数のギャップはこれからも続くだろうが、それは本質的な問題ではない。むしろ新しいビジネスで働く人が増えているとするならば、米経済は雇用統計に表れる数字で見えない力強さが存在するということが重要なのだ。

 

今週の 重要経済指標

出所:楽天証券作成