資産分散の重要性増す!パウエル議長証言、雇用統計にも注目! 

 ただし、これで「ウクライナショック」はもう終わりかというと、事態は予断を許しません。

 海外メディアによると、26日(土)、27日(日)の週末も、首都キーウなど都市部でウクライナ軍とロシア軍の激しい市街戦が繰り広げられ、双方に多数の死者が出ている模様。

 電撃的にウクライナ全土を占領してかいらい政権を樹立、というロシア側の目算に狂いが出ています。27日夜にはプーチン大統領が核抑止部隊に警戒命令を出した、という緊迫した情報が配信されています。その一方、両国が停戦交渉を始めるという事態好転に向けたニュースも流れています。

 26日には西側諸国が、国際決済ネットワークであるSWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの金融機関を排除する制裁措置の発動で合意。今後、ロシアの主要銀行による国際的な金融取引が不能となるため、金融市場に混乱が広がる可能性もあります。

 一方、プーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が「ウクライナのNATO加盟撤回」などで停戦交渉に入るようなら、株式市場が落ち着きを取り戻すでしょう。

 この侵攻が「これ以上、泥沼化するか? たとえロシアの要求を丸のみする形でも決着するか?」が株式市場の注目ポイントになりそうです。

 そんな中、今週3月2日(水)、3日(木)には米国議会上下院で、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)パウエル議長の議会証言が行われます。

 ウクライナ情勢に隠れて注目されませんでしたが、先週25日発表の1月米国消費支出の価格指数 (PCEデフレーター)は前年同月比6.1%上昇と、12月よりさらにインフレ(物価上昇)が加速しています。

 パウエル議長の議会証言がウクライナ情勢を配慮したハト派的(金融緩和策維持に寛容)なものに転換した場合は株価の上昇、従来通りタカ派(金融引き締めに積極的)だった場合は株価急落につながりそうです。

 3月4日(金)には、2月の米国雇用統計も発表されます。非農業部門新規雇用者数は前月比40万人増の予想です。引き続き、インフレに直結する平均時給の伸びなどに注目が集まるでしょう。

 27日にはこの機に便乗して、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した、といったニュースも伝わっています。地政学的リスクが台頭すると、株式一辺倒の資産運用では大きなダメージを受けてしまいます。

 ただでさえ米国では数十年ぶりの物価上昇が続いている中、ウクライナ危機や今後のロシアからの禁輸措置で、原油や穀物の価格上昇が当面、続きそうです。

 資産の一部を金やコモディティ関連の投資信託やETF(上場投資信託)にこつこつ投資していることが、運用資産全体に「保険」をかけるという意味でも重要でした。

 今週は、資産分散の必要性がさらに強く意識される1週間になりそうです。