保有資産の中で、金の立ち位置は?

 それでは順番に答えを見ていきましょう。

1.金を保有資産の【脇役】として考える

 いつ買うか、いつ売るか、というタイミングに翻弄(ほんろう)されてしまう人は総じて、金を保有資産の「主役」として捉えがちです。

「安いところで買って、高いところで売る」のが投資の王道ではありますが、金については、最初から分散投資の一つのパーツ、つまり、「脇役」として考えておいた方がよいでしょう。

 なぜなら金に期待する役割が二つあるからです。

 一つは、株式や債券といった伝統的資産の補完。そしてもう一つは、分散効果による運用効率の向上です。長期投資が分散との掛け合わせによって、その効果が発揮されることは、これまでにご説明してきた通りです

 ポイントは、値動きの方向が異なる資産を複数取り入れ、保有ポートフォリオ全体のリスクを抑えること。

 実際に、投信スーパーサーチの銘柄比較機能を使い、米国株式インデックスファンドと金関連ファンドの過去3年間のトータルリターン(基準価額+分配金)の推移を確認してみると、おおむね反対方向の値動きとなっていることが分かります。

米国株式インデックスファンドと金関連ファンドのトータルリターンの推移

出所:楽天証券投信スーパーサーチ

 分散効果を着実に享受するには、購入と売却のタイミングで狼狽(ろうばい)するのではなく、ポートフォリオの「脇役」として常に保有しておくことが大切です。目安となる割合は、ポートフォリオ全体の10%程度、多くても30%程度と考えておくとよいでしょう。