1-3月期の減収減益もAP需要の先行きを楽観、GPT-5やSORAなど生成AIがけん引
現地コード | 銘柄名 |
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00522 |
ASMPTリミテッド (ASMPTリミテッド) |
株価 | 情報種類 |
102.30HKD |
株価 企業情報 チャート |
オランダASMインターナショナル傘下の半導体製造装置大手、ASMPTの2024年1-3月期決算と4-6月期に関するガイダンスはまちまちの内容だった。業績が低迷する半面、受注指標は回復傾向。BOCIは生成AIの発展を理由にTCB(サーマルコンプレッションボンディング:熱圧着)、HB(ハイブリッドボンディング)、SiPh(シリコンフォトニクス)を含む同社のAP(先端パッケージング)装置の構造的需要を長期的に楽観している。同系列のASMLやファウンドリ最大手の台湾TSMCが半導体設備投資の減速見通しに言及したことを受け、リスク・リワード比率が後退しているとしながらも、GPT-5やSORA、Llama-3といった生成AIをめぐってFOMO(流行に乗れずに取り残される不安)現象が続いていると指摘。生成AI銘柄とともに、AP装置銘柄の年内の株価に対して楽観見通しを示した。目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続している。
半導体不況の長期化を受け、2024年1-3月期の売上高は前年同期比20%減、前四半期比8%減の31億HKドル。経営陣が事前に示したガイダンスと市場コンセンサス予想に合致した。粗利益率は41.9%へ前四半期比0.4ポイント低下したが、AP需要の堅調とコスト管理の強化で、営業利益率は7.6%を確保し、同2.2ポイント改善した。純利益は前年同期比43%減の1億8,000万HKドル。ただ、SEMI(半導体ソリューション)部門のベース効果の低下やSMT(表面実装技術)部門の受注の堅調で、BBレシオ(販売額に対する受注額の割合)は7四半期ぶりに節目の「1」を上回る水準に達した。
1-3月期にはハイエンドのスマートフォンやウエアラブル端末、PC、サーバー向けのRFモジュール需要が寄与し、APソリューションの受注が前四半期比でプラス成長を確保した。同期にはIDM(垂直統合型メーカー)とOSAT(後工程)分野の大手からTCGの受注を獲得。4-6月もファウンドリ大手からTCBの受注を獲得する見通しという。BOCIは向こう3-5年にわたり、生成AIのFOMO状態の持続が、同社のAP装置需要を押し上げるとみる。
BOCIは需要全体の弱さやスマートフォンなどの成熟セグメントにおける製品構成の変化を考慮し、2024年の予想EPS(1株当たり利益)を8%減額修正。2025年、2026年に関してはTCBとHB装置の比重の上昇が、その他部門の逆風をカバーするとみて、ほぼ現行予想を据え置いた。2025年予想PER(株価収益率)で23倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。23倍という基準は過去3年平均を小幅に上回る水準。前回までの22倍からの上方修正となる。
一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、生成AIの進化のペースダウンやマクロ経済の減速、自動車・産業用半導体需要の低調を受けたSMT部門の不振、世界のファブ(生産工場)設備投資の減速などの可能性を挙げている。