1,900ドル到達の背景をおさらい

 前回述べたとおり、先週、NY金価格は、昨年6月以来となる1,900ドルに達しました。

図:NY金先物価格の推移(期近 日足) 

出所:マーケットスピードⅡをもとに筆者作成

 各種報道では、1,900ドル到達の主な要因は、「ウクライナ情勢の悪化による、資金の逃避先需要の増加」、「世界的なインフレ(物価高)による資産保全需要の増加」などとされています。

 確かにその点もあると思いますが、筆者は現在の金(ゴールド)市場の環境を、以下のようにとらえています。要因は一つではない、下落要因も存在する、それぞれの要因の時間軸は同一でない、などに留意する必要があります。

図:足元の金(ゴールド)市場の環境

出所:筆者作成

 目立つ材料(ウクライナ情勢とインフレ)だけが、金(ゴールド)相場を押し上げているのではないことに留意することで、今を正しく理解でき、かつ今後の相場動向を展望する際のアイデアの幅が広がります。